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Hiroshi Ishiyama
Cisco Employee
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はじめに

VoIPネットワークで FAX 通信をサポート方法としては、T.38 FAXリレー方式や
FAX (Modem) パススルー方式があります。

T.38 FAXリレー方式は、変調されたFAXのモデム信号を送信側のVoice GW(DSP)
で復調し、抽出したバイナリのデータを伝送します。受信側のVoice GWでは
バイナリのデータを再度 FAX のモデム信号に変調して受信側のFAX装置に送信します。

FAX (Modem) パススルー方式は、FAXのモデム信号をアナログの音声信号のまま
受信側のFAX装置まで伝送します。G.729(8Kbps)等の音声コーデックを使用している
場合、モデム信号の劣化を防ぐため、音声コーデックはG.711(64Kbps)に変更されます。

接続されたコールは、最初、音声通信用のモードで動作しています。、
FAX信号(CED信号、モデム信号等)を検出した Voice GW は対向のVoice GWに対して、
FAX通信用のモードに切り替わる(Switchoverする)ように指示します。
FAX通信用のモードに切り替わる際に、H.323、SIP等のプロトコルを使用する方法を
Protocol-Based Switchover、RTPストリームを使用する方法を NSE-Based Switchover
と言います。

FAX通信のトラブルシューティングは、Voice GWのdebugログ、FAX機器の通信ログ等の
調査から始めますが、複雑な事象の場合、パケットキャプチャの調査を行う場合も
あります。

ここでは、Wireshark を用いた FAX通信(FAX over IP)の調査方法について
解説します。

 

1.T.38 Protocol-Based Switchover の場合

上図のシーケンスでは、SIPプロトコルによる Switchover が行われています。
re-INVITE、200 OKメッセージの交換後、コーデックがG.729からT.38通信に
切替わっていることが確認できます。

 

上図のシーケンスでは、低速モデム(V.21)により、FAX通信の制御用信号
(DIS、DCS等)の送信が行われています。

 

上図のシーケンスでは、高速モデム(V.17:14400bps)によるトレーニング
(all 0 のパターン)の送信が行われています。

 

上図のシーケンスでは、高速モデム(V.17:14400bps)により画像データの
送信が行われています。


2.T.38 NSE-Based Switchover の場合

上図のシーケンスでは、NSE方式 による Switchover が行われています。
NSE方式の Switchover はシスコ独自の方式であり、Wiresharkでは
その後の T.38 プロトコルを正しくデコードできていません。

 

T.38 プロトコルを正しくデコードするためには、該当するRTPストリームを
選び、右クリックして "Decode As" により、T.38 プロトコルを指定します。

 

上図では、T.38 プロトコルが正しくデコードされています。

 

3.Modem パススルーの場合

上図のシーケンスでは、NSE による Switchover が行われ、音声コーデックが
G.729 から G.711 に変更されています。


G.711 RTPパケットには、FAX の信号が含まれています。
通常の音声通信の場合と同様に、Wireshark の機能を使用して
音声信号(FAX 信号)抽出することが可能です。
上図は、送信、受信の両方向のFAX 信号を、時間を合わせてマージしたものです。
(オーディオ編集ソフトウェア:Audacity を使用して編集、表示した例です。)

参考ドキュメント:Wiresharkによる UC トラブルシューティング (RTPからの音声再生方法)


抽出できたFAXの信号(WAVファイル)は、専用のFAXアナライザで解析できます。

(上図は、Quality Logic社 の Data Probeを使用して解析を行った例です。)

 

まとめ


ここまで、Wireshark による FAX 通信のトラブルシューティングの
方法を簡単に解説してきました。
実際に現場でトラブルシューティングを行う場合は、まず、
Voice GW の設定が正しく行われているかの確認を行ってください。
問題が解決しない場合、Voice GW の debug 機能、FAX 装置の通信ログ、
FAX アナライザ、Wirehsark 等のツールを組み合わせて使用し
原因の調査を行ってください。

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