IOS、及び、IOSXE ルータで以下のような network 単位での NAT 変換の設定(以下、network NAT エントリ)を削除、または追加する場合、後述するような通信障害に繋がる事象が発生することがあります。
ip nat inside source static network 10.0.0.0 10.100.0.0 /24
削除、追加を行う network NAT エントリ以外の NAT ルールを使用して NAT 変換されるパケットが影響を受けるため、通信中にこのような操作を行った場合、通信影響が発生する可能性があります。
IOS ルータと IOSXE ルータでは問題の表れ方が異なり、それぞれ以下のようになります。
- IOS ルータでは NAT 変換対象となるパケットが drop する(NAT 変換の対象ではないパケットはこの限りではない)
- IOSXE ルータでは NAT 変換対象となるパケットが NAT 変換されずに送信される。
この状態が継続する時間は一度に削除する network NAT エントリの数、network で指定した subnet の大きさ、ルータの使用条件、などに依存して変わりますが、だいたい数秒から数十秒の影響があると考えて下さい。
この症状はルータ製品における network NAT の実装上の制限になりますので、上述のような操作を実施する際にはご注意下さい。
なお、以下のような network 単位ではない NAT エントリ削除時にはこのような問題は発生しません。
ip nat inside source static 10.0.0.1 20.0.0.1