本ドキュメントでは、APIC-EM (Cisco Application Policy Infrastructure Controller エンタープライズ モジュール) の reset_grapevine コマンドについて説明します。本ドキュメント作成時に確認している製品バージョンは、APIC-EM 1.6 です。
Cisco APIC-EM のリセット
reset_grapevine コマンドを利用して APIC-EM のリセットを行うと、サービスが正常に起動しないなどのコントローラーの問題を改善できる場合があります。本手順では、以前構成した設定情報(/etc/grapevine/controller-config.json)を元にリセットが行われますが、Cisco APIC-EM データベース上のデバイスの情報などの既存のデータは保持することが可能です。
事前の注意事項
- 本操作ではコントローラのダウンタイムが発生するため、メンテナンス時間中の実施を検討します。 処理中にサービスの停止・起動が含まれ、完了までに数十分かそれ以上の時間がかかることがあります。
- マルチ ホスト クラスタ構成の場合
- この手順は3台のうちのいずれか 1 台のホストで実行します。1 つのホストでこの手順を実行したら、他の 2 つのホストも自動的にリセットされます。
- 2 台構成の状態での本コマンドの実行はサポートされていません。
- その他、注意制限事項については、利用中のバージョンのリリースノートを確認します。
リセットの実行
- コンソールから "grapevine" ユーザーで APIC-EM の CLI にログインします。コンソールが利用できない場合は SSH クライアントから "grapevine" ユーザーで APIC-EM にログインします。なお、処理中に SSH 接続が切断されると、本コマンドは正常完了できません。これを防ぐため、 SSH 接続の場合は tmux(端末マルチプレクサ)を使用します。
以下の 'tmux' コマンドを実行して新しいセッション(例:session100)を作成します。
$ tmux new -s session100
もし処理中にセッションから切断してしまった場合は、SSH 再接続後、以下のように 'tmux' コマンドを実行することで元のセッションにアタッチできます。
$ tmux attach -t session100
- 'reset_grapevine' コマンドを引数なしで実行します。SSH 接続の場合はセッションにアタッチされた状態で実行します。
$ reset_grapevine
- "grapevine" ユーザーのパスワードを入力します。
[sudo] password for grapevine:
- 'Do you want to delete...' で始まる質問に対し、'n' を入力して既存の情報が削除されないようにします。
THIS IS A DESTRUCTIVE OPERATION
Do you want to delete all VIRTUAL DISKS in your APIC-EM cluster? (y/n): n
THIS IS A DESTRUCTIVE OPERATION
Do you want to delete authentication timeout policies, user password policies,
AAA servers and Cisco APIC-EM user accounts other than the primary administrator account? (y/n): n
THIS IS A DESTRUCTIVE OPERATION
Do you want to delete the imported certificates? (y/n): n
THIS IS A DESTRUCTIVE OPERATION
Do you want to delete the backups? (y/n): n
- 処理が始まります。完了までしばらく時間がかかりますが、処理内容と進行状況は CLI 上の表示で確認することが可能です。
Running config wizard with saved configuration: /etc/grapevine/controller-config.json
2018-01-26 05:12:18,266 | Validating configuration...
...
- サービスが全て起動して、以下のように表示されれば完了です。
...
======================================================================
Grapevine is ready for use
To access the APIC-EM Web UI, please point your browser to one of the following URLs:
https://(APIC-EM コントローラーの IP アドレス)
======================================================================
- SSH 接続の場合は 'tmux' コマンドを実行して tmux のセッションを終了します。
$ tmux kill-session -t session100
実施後の確認事項
- リセットが完了したら、APIC-EMでのサービス確認手順 記事を参考にサービスの起動状況を確認します。
- リセットに失敗する場合や、リセットを行なっても問題が改善しない場合は、APIC-EMでのログ取得手順 記事を参考に調査用ログを採取します。マルチホスト環境の場合は、全てのホストで rca コマンドを実行して資料を採取します。
参考資料