FlexConnectモードのAPで電源断が発生すると、APの“FlexConnect Vlan mode”の設定が“Enabled”から”Disabled”に変更され、保存したはずの“FlexConnect VLAN”の情報が消失してしまう問題があります。この“FlexConnect Vlan”の情報が消失することにより端末のトラフィックが正しい VLAN に送られず、端末の接続不具合が発生します。この問題はWLCの不具合“CSCul31732 FlexConnect Vlan mode was changed to Disabled after power cycle”として報告、修正されております。なおCSCul31732は“APの電源断”によりランダムに発生し、“APのFlash Memory書き込み機能が最適化されてない”ことがroot causeと判断されております。
但しCSCul31732の発生仕組みについては公開ドキュメント上説明がないため、何故APの数多い設定項目のうち“FlexConnect Vlan mode”のみが消失するか、など疑問に考えているお客様もいると思われます。そこで本文ではCSCul31732の発生仕組みについて説明することにします。
Cisco APでは Event ログなどの情報を保存するためFlash memory への書き込みが頻繁に発生します。もしAPがFlash memoryの書き込みを行っている際に電源断が発生しますと、僅かな確率で(数パーセント) Flash Memory の一部の領域が劣化(Corruption)します。それからAPに電源が入り、起動を始めるとAPの初期化プロセスによって劣化したFlash Memoryの領域は消去されてしまい、その領域に保存されていた情報は全て消えます。もしこの領域に“FlexConnect Vlan mode”の情報が保存されていたら消えてしまうのです。
それからAPが起動し、WLCにJoinしてから設定情報をダウンロードしますが、APの“hostname”、“FlexConnect Vlan mode”などはローカル設定であるため、APがJoinする際にはWLC からダウンロードせず、AP ローカルの設定が WLC に読み込まれます。この時APの“FlexConnect Vlan mode”の設定は既に消えているため、WLC が読み込んだのは“FlexConnect Vlan mode”が"Disable"となっている状態です。
CSCul31732の該当事例は大半が“FlexConnect Vlan mode”が“Disabled”に変わる事象として報告されますが、実際には色々な設定が削除可能です。但しそのうち“FlexConnect Vlan mode”の消失は端末の接続問題を引き起こすために直ぐ気づかれてしまい、報告されます。
CSCul31732のroot causeであるFlash Memoryの劣化はFlexConnectモードAPのみではなくLocalモードAPでも発生可能ですが、LocalモードAPは端末の接続に関係するWLANの設定情報などをWLCからダウンロードし、“FlexConnect Vlan mode”のような情報は持っていないため、 端末の接続不具合が発生せず、ユーザは気づき難いことが原因であります。