はじめに
Voice GW には、スイッチ機器の故障等、LAN回線側に障害が発生した際、ISDN 回線からの音声コールの着信を防ぐ機能(busyout monitor 機能)があります。
しかし、この機能はISDN回線のプロトコルに依存するため、接続する ISDN 網(Voice GW の設定では Switch Type)により機能的な制限があります。
ここでは、NTT の ISDN 回線で使用する場合の制約事項について説明します。
1.busyout monitor機能の設定と動作
busyout モニター機能を使用したい場合、busyout 制御を行いたい音声インタフェース (voice-port) に、busyout monitorコマンドを設定し、状態をモニターするインタフェースを指定します。
下図は、ethernet インタフェースに障害が発生した際に、BRI/PRIインタフェースを busyout 状態にする構成例です。

接続する ISDN 回線の Switch Type が、NI、4ESS (User Side only)、5ESS (User Side only)、DMS100
の場合、D-チャンネルのサービスメッセージにより、B-チャンネルを OOS (Out Of Service) の状態に
遷移させることができます。(この時、D-チャンネルはアクティブ状態のままです。)
上記以外の Switch Type の場合、ISDN 網の交換機が対応していないため、Voice GW は ISDN 回線の
D-チャンネルをダウンさせます。
コマンドの詳細については、下記の IOS コマンドリファレンスを参照してください。
Cisco IOS Voice Command Reference: busyout monitor
2.NTT ISDN 網の代表回線での迂回動作について
NTT ISDN 網の代表回線での迂回条件は、下記の NTT 技術参考資料に記載されています。
NTT技術参考資料:代表機能


上記の通り、BRI 回線でコールが迂回する条件(網決定ユーザビジー)は、"PーMPにおけるレイヤ1起動失敗" になります。
3.NTT ISDN 網と接続する際の制限事項について
Voice GW を NTT ISDN 網 (INSネット64/1500) の代表回線と接続する際、別の回線への迂回動作に問題が発生します。
busyout モニター機能で、モニター対象のインタフェースがダウン状態になると、BRIインタフェースの
D-チャンネルがダウン状態になります。物理的なインタフェース(レイヤ1)が完全にダウンしている状態ではありません。
ISDN 回線から着信があると、NTT DSU は回線を起動しようとしますが、レイヤ1起動失敗にはならず、レイヤ2の起動に失敗します。
そのため、上述の網決定ユーザビジーの条件には合致せず、別の代表回線への迂回は行われません。
まとめ
Voice GW の busyout monitor 機能は、NTT ISDN 網の代表回線と組み合わせて使用した場合に迂回動作が行われません。
スイッチ等の障害への対策としては、LAB回線(WAN回線を含む)設備を冗長化する等、ネットワークの設計変更で対処する必要があります。