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Hiroshi Ishiyama
Cisco Employee
Cisco Employee

インターワーキングで発生する問題

IP PhoneでCFA (Call Forward All) の設定を行い、コールの転送先として外線電話番号(NTT、携帯電話網等)を指定する場合があります。

この時、外線からIP Phoneに着信があると、ISDN-H.323-ISDNのインターワーキングが行われます。
転送先の電話機が話中であった場合、発信側の電話機にはBT(話中音)が聞こえるべきですが、Voice GWの設定によってはRBT(呼出音)が聞こえてしまう場合があります。
また、転送先が携帯電話網で電話機が圏外の場合、圏外アナウンスが聞こえず、RBTが聞こえる場合もあります。
このドキュメントでは、この問題が発生する理由と対処方法について解説します。

FIG1.jpg

不具合の原因

この問題は、NTT ISDN網(INSネット64/1500)の制約事項とVoice GWの設定が関連して発生します。
NTT ISDN網の動作仕様については、NTT が公開している技術参考資料に記載されています。
下表は、INSネットサービスの技術参考資料からの引用です。

FIG2.jpg

ISDNプロトコル上、インバンド情報を使用する際には、経過識別子(PI/Progress Indicator)の
情報要素を使用しますが、NTT ISDN網では、ユーザから網方向への呼出(Alerting)メッセージでの
経過識別子はサポートされていません。そのため、コール接続前に、ユーザから網方向へ
インバンド情報を提供することができません。

外線からのコールを外線に転送した際のコールフロー

下図はVoice GWに voice call convert-discpi-to-prog コマンドが設定されている場合の動作です。

FIG3.jpg

着信側電話機が話中の為、着信側 ISDN網(図中右側)からPIが付加されたDisconnect メッセージを受信しています。
Voice GWは設定によりDisconnect メッセージをProgressメッセージに変換して発信側に返送します。
NTT ISDN網は、ユーザから網方向へのProgressメッセージをサポートしていないため、H.323 GWにてAlertingメッセージに変換されて発信側 ISDN網(図中左側)に送信されます。(備考:Voice GWには、voice call send-alert コマンドの設定が必要です。 このコマンドを設定しないと、ProgressがAlertingに変換されないため、T310タイマーにより10秒でコールが切断されてしまいます。)
着信側 ISDN網から提供されるインバンド信号(BT:話中音)は、NTT ISDN網の制約により発信側の電話機では聞くことができません。発信側の電話機では発信側 ISDN網で生成されたRBT(呼出音)を聞くことになります。

下図はVoice GWに voice call convert-discpi-to-prog  コマンドが設定されていない場合の動作です。

FIG4.jpg

着信側 ISDN網(図中右側)から受信したPIが付加されたDisconnect メッセージはRelease Completeメッセージに変換されます。(H.323プロトコルでは、Disconnect および Releaseメッセージはサポートされていないからです。)
この場合も、着信側 ISDN網から提供されるインバンド信号(BT: 話中音)は、NTT ISDN網の制約により発信側の電話機では聞くことができません。

しかし、発信側にはRelease Completeメッセージが返送されているので、発信側の電話機では発信側 ISDN網で生成されたBT(話中音)を聞くことができます。

以前のCUCMの動作

通常 Release Completeメッセージには、PI は付与されません。PI がない場合、インバンド信号が利用できないため、CUCM配下のIP Phoneも着信側 ISDN網からのインバンド信号(圏外アナウンス等)が聞こえなくなります。

そのため、以前のCUCM (バージョン4.1より前)の環境では、voice call convert-discpi-to-prog コマンドを設定するのが一般的でした。

現在のCUCM (バージョン4.1以降)の環境では、Release Complete にCisco独自の方式でPIを付加し、インバンド信号を伝送できるように機能追加が行われています。

現在のCUCMの環境では、サードパーティのH.323 端末とのインタワーキングが必要な場合を除き、voice call convert-discpi-to-prog コマンドを設定する必要はありません。

SIPプロトコルを使用した場合の動作

VoIPプロトコルとしてSIPを使用した場合もに同様の問題が発生します。

SIP プロトコル上では、H.323プロトコルの場合のように Cisco独自の方式 (Release Complete に  PIを付加する方法)が使用できません。

Disconnect  w/ PI は、SIP プロトコル上、183 session  progress または BYE メッセージの いずれかに変換されます。

FIG5.jpg

BYEを使用した場合、CUCM配下のIP Phoneが圏外アナウンス等のトーキーを聞けない 問題が発生します。

183 session progressを使用した場合は、ISDN-SIP-ISDNインタワーキングで、着信側が話中時にRBTが聞こえる問題が発生します。

VoIP プロトコルとして SIP を使用した場合、この 2つの課題に同時に対処する方法がありません。

ISDN とのインタワーキングを行う場合、SIP より H.323 プロトコル の方が適していると考えられます。

問題への対処方法

外線からのコールを外線に転送する場合、ISDN-H.323-ISDN のインタワーキングが
発生します。相手が話中であるのに呼出音が聞こえる等の問題を回避するには、NTT ISDN網の制約事項、VoIPプロトコルの特性を理解し、Voice GWを適切に設定して頂く必要があります。

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