はじめに
電話網でコールする際、発信者にはリングバックトーン(RBT)が聞こえます。
通常、RBTはコールの状態を通知するために交換機で生成されます。
VoIP 網の場合は、RBT は PBXやVoice GW で生成される場合もあります。
RBT に関する問題(聞こえない、音のパターンが異なる、等)が発生した場合、
RBT がどこで生成されるかを意識してトラブルシューティングを行う必要があります。
このドキュメントでは、コールのパターンにより、RBT がどこで生成されるかを説明します。
1.FXS インタフェースの場合

FXSインタフェースに接続されたアナログ電話機間の通話の場合、RBTは発信側Voice GWで生成されます。
生成されるRBTの音は、Voice GW(Voice-port)の cptone コマンドに依存します。
2.着信側がE&Mインタフェースの場合

E&Mインタフェースに接続されたPBXへのコールの場合、RBTは着信側のPBX装置から提供されます。
着信側のインタフェースが T1 CAS インタフェースの場合も同様です。
3.着信側がISDNインタフェースの場合

着信側が ISDN (PRI) インタフェースの場合、RBTが生成される場所は
ALERTINGメッセージの経過識別子(PI)に依存します。
経過識別子が含まれる場合は、RBTは着信側のPBXから提供されます。

ALERTINGに経過識別子が含まれない場合は、RBTは発信側のVoice GWから提供されます。
参考資料:NTT INSネットサービスの技術参考資料の第3分冊レイヤ3回線交換編からの引用

Voice GWは、経過識別子(PI)に基づいて音声パスを制御します。
ALERTING/PROGRESS(PI=1,2,8)を受信した場合、音声パスが開きます。
SETUP(PI=1,3)に対してALERTING/PROGRESS(PI 無)を受信した場合、
発信側Voice GWがRBTを生成します。
H.323プロトコル上では、経過識別子は非標準の情報要素として伝送されます。
SIPプロトコル上では、ALERTING(PI無)は180 Ringing(SDP無)、ALERTING(PI有)は
183 SESSION PROGRESS(SDP有)にマッピングされます。
まとめ
RBT に関する問題のトラブルシューティングを行う場合、
本来RBTがどこで生成されるかを意識する必要があります。
RBTの生成源に応じて、ログを収集し調査を実施してください。
参考ドキュメント
すべてのVoIPおよびアナログプロトコルのリングバックの詳細分析
In Depth Analysis of Ringback for all VoIP and Analog Protocols
コール プログレス トーンのカスタマイズ方法について(アナログ電話インタフェース)