先日社内で「ACIで特定のQSFPがどのポートに挿してあるかPIDで検索したいんですが、いい方法ありますか?」と聞かれたので、その時に試した内容をご紹介します。きっと他のオブジェクトを検索したい時にも応用できるはずです。
まずパッと思いついた方法は以下の3つでした。
(1) LeafのCLIにログインしてshow int transceiver detailを打つ
(2) APIC GUI 右上の検索ツールを使う
(3) MO(Managed Object)をどうにかして検索する
(1) は簡単な方法ではありますが、各Leafに入ってコマンドを実行する必要があり、Leafの台数が多い場合はかなり面倒になるため却下しました。(2) は便利な機能なのですが、Search Categoly にSFPのPIDという項目が無く、今回の場合は不可でした。

というわけで今回は (3) のMOを検索する方法を考えてみます。
ACIでは設定パラメータやフォルト等のあらゆるオブジェクトがMO(Managed Object)として管理されています。
MOは以下のようなTree構造になっており、これをMIT(Management Information Tree)と呼びます。
オブジェクトの種類を示すものを Class といいます。以下は一例ですが、Tenant を指す Class は fvTenant、AppEPG を示す Class は fvAEPg となります。オブジェクトには親子関係があり、例えば以下の図では EPG1 は Applcation Profile の子オブジェクトとなります。
※ ACIのポリシーモデルに関する詳細は「Cisco ACI Policy Model Guide」をご参照ください。
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/switches/datacenter/aci/apic/sw/policy-model-guide/b-Cisco-ACI-Policy-Model-Guide.html

今回はSFPのPIDで検索したいため、まずはSFPのPIDが何という Class で定義されているかを調べる必要があります。
そのため、APICのGUIでSFPのPIDが表示される画面を開いてみます。
以下の通り、"Transceiver Type"という項目にPIDが表示されていることを確認できました。
右上のダウンロードボタンをクリックし、このページをXML形式でダウンロードしてみます。

XMLファイルを開き、QSFPのPIDで検索すると、"ethpmFcot" の配下で "typeName" 及び "guiCiscoPID" という項目として扱われていそうだということが分かりました。今回はより意図に近そうな "guiCiscoPID" に着目します。

APIのリファレンスで確認してみます。APICのGUI右上にある歯車アイコン > Documentation > API Documentation を開きます。

左メニューの Classes から "ethpmFcot" を開くと、"guiCiscoPID" が確認できました。
このリファレンスで詳細なオブジェクトの構造を確認することも可能ですが、今回はあまり掘り下げず次に進みます。

これで必要な情報は揃ったので、Object Store Browser を開きます。
APIC GUI右上の歯車マーク もしくは https://<APICのIPアドレス/visore.html でアクセスすることができます。

以下のように指定してクエリを掛けると、対象のPIDのQSFPを搭載したI/Fがリストで確認できました。

もっといいやり方があるかもしれませんが、とりあえず目的は達成できました。
EPGやBDなどの論理オブジェクトの検索にはAPIC GUI右上の虫眼鏡アイコンから検索できるため、今回のような調べ方をしたい場面はあまり無いかもしれませんが、一例としてご紹介させていただきました。何かのお役に立てれば幸いです。