2017-04-03 02:27 AM 2021-01-27 05:45 PM 更新
CSCvd78303の影響を受けるASAで、起動し213日(約7か月)経過すると、ARP処理に失敗するようになり、ASAを通過する通信や 管理通信の全断につながります。 2016年8月頃~2017年3月までにリリースの、ASA9.1トレイン以降の新規バージョンの多くが影響を受けます。
各トレインの影響を受けるバージョンと、そのバージョンのCCO(Cisco.com)公開時期、修正バージョンの一覧は、以下表を確認してください。
トレイン別 影響バージョンと修正バージョン (2017年4月13日現在):
トレイン | 影響 バージョン |
CCO 公開日 |
影響を受ける 主なCCOリリース |
修正予定 バージョン |
修正バージョン リリース予定 |
8.4 以前 |
影響無し | - | - | - | - |
9.0 | 影響無し | - | - | - | - |
9.1 | 9.1(7)8以降 | 2016年 8月下旬以降 |
9.1(7)9、9.1(7)11、 9.1(7)12、9.1(7)13、 9.1(7)15 |
9.1(7)16 もしくは それ以降 |
リリース済み (2017/4/3~) |
9.2 | 9.2(4)15以降 | 2016年 10月中旬以降 |
9.2(4)17、9.2(4)18 | 9.2(4)20 もしくは それ以降 |
リリース済み (2017/4/3~) |
9.3 | 影響無し | - | - | - | - |
9.4 | 9.4(3)5以降 | 2016年 7月末以降 |
9.4(3)6、9.4(3)8、 |
9.4(4)5 もしくは それ以降 |
リリース済み (2017/4/3~) |
9.5 | 9.5(3)以降 | 2016年 8月末以降 |
9.5(3)、9.5(3)1、 9.5(3)2、9.5(3)6 |
9.5(3)8 もしくは それ以降 |
リリース済み (2017/4/11~) |
9.6 | 9.6(2)1以降 | 2016年 9月下旬以降 |
9.6(2)1、9.6(2)2、 9.6(2)3、9.6(2)7、 9.6(2)11、9.6(2)13、 9.6(3) |
9.6(3)1 もしくは それ以降 |
リリース済み (2017/4/3~) |
9.7 | 9.7(1)以降 | 2017年 1月下旬以降 |
9.7(1)、9.7(1)2 | 9.7(1)4 もしくは それ以降 |
リリース済み (2017/4/4~) |
9.8 | 影響無し | - | - | - | 2017年春 |
show version もしくは show tech コマンドで確認できます。 例えば、以下出力例の場合、ASAバージョンが9.4(3)12、稼働時間が約53日であることがわかります。show techの場合、当コマンド出力の先頭に show version と同等の出力が含まれます。
Internet-FW-01# show version
Cisco Adaptive Security Appliance Software Version 9.4(3)12 <--- 利用バージョン
Device Manager Version 7.5(2)
Compiled on Thu 20-Oct-16 17:57 PDT by builders
System image file is "disk0:/asa943-12-lfbff-k8.SPA"
Config file at boot was "startup-config"
Internet-FW-01 up 53 days 13 hours <--- 稼働時間
failover cluster up 104 days 0 hours
Hardware: ASA5506, 4096 MB RAM, CPU Atom C2000 series 1250 MHz, 1 CPU (4 cores)
Internal ATA Compact Flash, 8192MB
BIOS Flash M25P64 @ 0xfed01000, 16384KB
Device Dashboardから確認できます。 ASA Version:が ASAソフトウェアバージョン、Device Uptime:が 対象機の稼働時間です。
稼働し213日が経過する前に機器の再起動を実施してください。1つの目安として、稼働し180日(6ヶ月)以上経過し 残り猶予時間が少ない時に再起動を検討してください。
再起動後、ASA内部情報がリセットされるため、問題発生までの猶予期間は213日に戻ります。
・昼休憩や深夜、休日など、通信影響の少ない任意時間帯での、再起動の実施を検討
・ASAの再起動は、時間指定も可能。 詳しくは、ASA: 時間を指定しての ASA再起動方法 を参照
・以下ドキュメントの手順を参考に、Standby機再起動→Failover→旧Active機再起動を行う事で、通信影響を抑えての両機器の再起動が可能
ASA: 冗長構成(Act/Stby)で Active機と Standby機の再起動方法 (CLI)
https://supportforums.cisco.com/ja/document/13265066
暫定回避策は、問題発生の猶予期間を213日に戻すのみの対応のため、問題の発生を先送りする効果しかありません。 そのため、修正バージョンへのアップグレード準備が整い次第、恒久対応策を実行してください。
修正バージョンへのアップグレードを検討してください。
・アップグレード手順は以下ドキュメントなどを参考
ASA: ASDMを用いた、同じトレイン内の 最新バージョンへのアップグレード方法
https://supportforums.cisco.com/ja/document/12327751
・アップグレード手順は以下ドキュメントなどを参考
ASA/PIX: CLI を使用して、フェールオーバー ペアのソフトウェア イメージをアップグレードする方法
http://www.cisco.com/cisco/web/support/JP/108/1082/1082820_asa-failover-upgrade.html#actstand
この問題は、CSCva03607の不具合修正のためのコード変更に伴うリグレッションの影響です。 つまり、CSCva03607の修正コードを含むバージョンが、213日稼働後停止問題(CSCvd78303)の影響を受けます。
CSCvd78303の影響を受けるASAが稼働し、約213日12時間(※稼働状況により数時間前後するケースも御座います)を経過すると、ARP関連の内部処理に不整合が発生し、ASAがARP処理を正しく行えなくなります。 結果、以下の致命的な問題が発生します。
- ARP処理失敗に伴い、ARPエントリの学習に失敗するようになる
- show asp dropコマンドで、punt-rate-limit-exceededによる大量のドロップの上昇が確認できる
- ARP解決不可に伴い、対象ASAを通過する通信が停止
- ASA宛の管理通信(SSH/Telnet/ASDM)が不可 (管理通信もARPを利用するため)
問題が発生すると、リモートからの再起動による復旧も困難となります。その為、213日を越える前の再起動、もしくは 修正バージョンへのアップグレードを検討してください。
当問題の詳細は、以下のField Noticeと Bug Search を参照してください。 なお、Bug Searchの確認には、適切な権限を持つCCOアカウントが必要です。
Field Notice: FN - 64291 - ASA and FTD Software-Security Appliance Might Fail To Pass Traffic After 213 Days Of Uptime-Reboot and Software Upgrade Required
http://www.cisco.com/c/en/us/support/docs/field-notices/642/fn64291.html
Bug Search: ARP functions fail after 213 days of uptime, drop with error 'punt-rate-limit-exceeded'
https://bst.cloudapps.cisco.com/bugsearch/bug/CSCvd78303
213日を越える前に、ご利用中トレインの修正を含む最新バージョンにアップグレードを実施(=恒久対応)するか、手動での再起動を実施(=暫定対応)を検討してください。
修正バージョンが無く、かつ 時間に猶予の無い場合は、基本はCSCvd78303の影響を受ける各トレインの最新バージョンでの導入をお勧めします。 これは以下2点の理由からです。
- 各トレインの最新バージョンには最新の不具合や脆弱性の修正が行われていること- CSCvd78303はASA内部処理に起因する不具合であり、ASAの脆弱性ではないこと
2017年4月4日現在、主要な長期サポート対象のトレインは全て修正バージョンがリリースされています。 ご利用中トレインの修正済み最新バージョンにアップグレードした後の 導入を検討してください。
対象機を手動で電源OFF/ONし再起動するか、もしくは、対象機にコンソールアクセスし reloadコマンドを実行してください。
以下はよくある質問と その回答です。
はい、可能です。 CLI、もしくは ASDM(GUI)から、時間を指定しての再起動が可能です。 詳しくは以下ドキュメントを参照してください。
ASA: 時間を指定しての ASA再起動方法
https://supportforums.cisco.com/ja/document/13265081
ソフトウェアの不具合のため、ASAソフトウェアが稼働する製品が影響を受けます。 例えば、ASA5500シリーズ、ASA5500-Xシリーズ、ASA-SM、ASAv、ISA3000シリーズ、FirePOWER4100シリーズ、FirePOWER9300シリーズが、ASAソフトウェアを利用しています。
Field Notice: FN - 64291 - ASA and FTD Software-Security Appliance Might Fail To Pass Traffic After 213 Days Of Uptime-Reboot and Software Upgrade Required
http://www.cisco.com/c/en/us/support/docs/field-notices/642/fn64291.html
Urgent Proactive Customer Notification to Prevent ASA Outages
http://blogs.cisco.com/security/urgent-proactive-customer-notification-asa
ファイアウォール トラブルシューティング
https://supportforums.cisco.com/ja/document/12725841#hdr-1
こんにちは
9.4(3)6 で修正された物(9.4(3)4?)の影響があるという事の様なので
インターリムの修正が入ってない 9.4(3) は影響を受けないと言う認識はあっていますでしょうか?
よろしくお願いします。
MTさん、こんにちわ。
はい、9.4(3)は、9.4(3)5より前のリリースなので、213日問題の影響を受けません。
以下は9.4トレインの変遷となりますが、以下の影響発生バージョン★から 修正バージョン◆の1つ前までのバージョン(赤字)が影響を受けます。
9.4(3)→9.4(3)1→9.4(3)2→9.4(3)3→9.4(3)4→9.4(3)5 ★→9.4(3)6→9.4(3)7→
...→9.4(4)→9.4(4)1→9.4(4)2→9.4(4)3→9.4(4)4→9.4(4)5◆→9.4(4)6→9.4(4)7→...
なお、弊社内ではInterimバージョンも 上記のように 連番にリリース・単独テストを実施してますが、その中から 外部リリースするバージョンを選定し、入念な統合テストの合格済みのバージョンのみCCOリリースさせて頂いてます。
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