はじめに
本ドキュメントでは、2020/5/7 にアナウンスされた Field Notice: FN - 70555 - Legacy VoIP Mode and iOS 13 Apple Push Notification Service Changes That Affect Cisco Jabber, Cisco Webex Teams, Cisco Unified Communications Manager and IM & Presence Service, and Cisco Expressway - Software Upgrade Recomm... について、補足します。
FN - 70555 の概要
Apple iOS 13 SDK の仕様変更に伴い、VoIP アプリケーションとして App Store に公開される全てのアプリは、これに合わせた仕様の変更が必要となりました。
本変更は、Cisco Jabber、及び、Webex Teams がバックグラウンドで動作する場合の着信動作に影響がありますが、本ドキュメントでは、Cisco Jabber について記載致します。
影響範囲は、以下の通りです。
- 2020/8/1 以降 Apple Push Notification (APNs) が有効でない場合
- 2021/4/1 以降 新方式の APNs が有効でない場合
- Caller ID が Unknown Caller と表示される
- アプリが予期せず終了する
- 着信しなくなる
これらの問題が発生しないようにするために、所定の日時までに、新方式の APNs に対応した各機器のリリースバージョンへアップグレードを行い、APNs を有効にする必要があります。
Apple iOS 13 SDK の仕様変更
2019/9/10 の Apple 社からのアナウンス によると、2020/4 以降は、アプリの App Store 公開のためには iOS 13 SDK による開発が必須条件となりました。
なお、こちらは新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、6/30 に延期されております(2020/3/26 の Apple 社からのアナウンス)。
iOS 13 SDK の仕様変更の1つに、VoIP Push を Apple cloud にリクエストする際に、Caller 情報(displayName, number, remoteParty-id, PUSHiD) を通知する必要があります。
また、VoIP と IM では別々の Push Notification 用のチャネルが使用されることになり、これらに対応するために、Jabber、Unified CM、IM and Presence、及び、MRA で IM を用いている場合には Expressway のアップグレードが必須となります。
- VoIP Call : 優先度の高い VoIP Channel を使用(Callkit 経由で通知を受信)
- IM : メッセージング用の Channel を使用
なお、Jabber 12.8 は iOS 12 SDK、12.9 以降は iOS 13 SDK で開発されております。
参考: Push Notifications Deployment for Cisco Jabber on iPhone and iPad with Cisco Unified Communications Manager
Cisco Jabber for iOS で利用可能な着信方式
Jabber がバックグラウンドで動作中に着信可能な方式を時期別に整理します。

(*1) について
- APNs を使用しない VoIP ソケット方式による着信は、iOS 10 and the Legacy VoIP Architecture に記載の通り、バッテリーへの影響などから推奨ではありませんでした。
- これまでは例外措置として、VoIP ソケット使用のための Entitlement を入手しておりましたが、2020/7 末にこの Entitlement の期限が切れてしまいます。
- Jabber for iPhone の Push Notification 動作ついて をはじめ、様々な形式で APNs への移行をご案内してきた中、VoIP ソケットが使用できていたのは、この例外措置によるものでした。
- 7月以降の VoIP ソケットによる着信可否については、iOS 12 SDK 以前で開発された Jabber 12.8 以前を使用し続けたとしても、動作の保証はありません。7月末に VoIP ソケットが停止するような仕組みを弊社が実装していることはないため、技術的には着信は可能ですが、Apple 社側でどのような対応がなされるかについては、不明です。
- 上記状況から、弊社としては、2020/7 末までに APNs 従来方式、あるいは iOS 13 SDK 新方式への移行を案内しております。
(*2) について
- 2021/4/1 以降、Apple 社の Cloud 側では、上記 iOS 13 SDK での仕様変更による動作のみがサポートされるよう切り替わる見込みです。具体的にどのように切り替わるかについての情報は、弊社にはありません。
- 従来方式は動作しないものと考えられますので、2021/3 末までに新方式への移行をお願い致します。
(*3) について
- Jabber、及び、各サーバを新方式に対応するバージョンへアップグレードした時点で、新方式による着信が動作します。
- 新方式と従来方式による着信において、Jabber 上でユーザに分かるような差分はありません。
- 新方式による APNs を受信した場合には、Jabber の問題レポートに pushId:X-XXXXXXXX が記録されます。
(その他ログの文言については変更される可能性がございます。)
jabber.log.1:31697: 2020-04-17 17:48:04,885 INFO [0x00000001085da040]
[tahiti/ui/APNS/YLCVoipPushManager.m(406)] [UI.APNS]
[-[YLCVoipPushManager pushRegistry:didReceiveIncomingPushWithPayload:forType:withCompletionHandler:]]
- create new pushKit call to callKit (pushId:2-23393356)
新方式の APNs が動作するバージョン

リリース予定時期については、2020/5/15 時点の情報です、
(*4) について
- MRA 、かつ、IM をご利用の場合、Expressway のアップグレードが必須です。
参考: 従来方式の APNs が動作する推奨バージョン

(*5) について
- MRA の場合、Expressway は必要です。
(*6) について
- 11.5(1)SU3 は、従来方式の APNs がサポートされており、現時点で正常に APNs が動作しているのであれば、2020/8/1 時点の変更においては問題は発生しません。
- SU3 に比べて SU4 以降では、HTTPS プロキシをサポートしている点や、複数の不具合修正によって動作が安定しているため、このような記載となっております。