はじめに
Cisco Wireless IP Phone (CP-8821) の Deployment Guide で、以下の通り1回のフル充電でバッテリーの持ち時間の期待値として、音声通話中の場合は 13 時間、アイドルの場合は 48 時間(Continuous Scan モード)または 96 時間(Auto Scan モード)とされています。
ただし、こちらの値はあくまでも期待値であり、実際の場合、様々な要素によってバッテリーの持ち時間が影響されるため、Deployment Guide の記載より持ち時間が短いケースがあります。
このドキュメントは、CP-8821 のバッテリー持ちが短い時の改善方法をいくつかご紹介します。
ファームウェアのアップグレード
以下のように CP-8821 ではバッテリー持ちを悪くするソフトウェア不具合が複数報告されています。
CSCvf59659
Messages are duplicated in hourly logs causing decrease in battery life
CSCvi95656
Auto scan triggers frequent scans after roaming causing battery drain
これらの不具合の影響によって CP-8821 のバッテリー持ちが悪くなる可能性がありますので、最新ファームウェアにアップグレードしてください。
ディスプレイの消費電力を少なくする
CP-8821 でもっとも電力を消費する部分の1つは、ディスプレイです。
CP-8821 に、節電のために一定時間で操作がないとディスプレイをスリープモードにする機能があります。またスリープモードになるまでの時間が設定可能です。消費電力を節約するために、Cisco は1分以内に設定することを推奨しています。
CP-8821 の画面で設定する箇所は以下の通りです。
Settings > Phone Settings > Display > Sleep
Bluetooth を無効にする
CP-8821 は Bluetooth をサポートしており、ハンズフリーのワイヤレスヘッドセットが利用可能です。
ただし、ワイヤレスヘッドセットを利用しない時でも、Bluetooth のための無線電波を送受信しているので、無駄な電力消費になりかねません。そのため、ワイヤレスヘッドセットを利用しない場合は、Bluetooth を無効にすることが推奨されています。
CP-8821 の画面で設定する箇所は以下の通りです。
Settings > Bluetooth
スキャンモードを Auto に変更する
CP-8821 はローミング(複数アクセスポイント間の移動)をスムーズにするために、デフォルト(スキャンモード:Continuous)では、無線電波のスキャンの間隔が短くなっています。
短い間隔で頻繁にスキャンを行っているため、電力消費も大きくなります。そのため、デフォルトの Continuous からスキャン頻度の少ない Auto のモードに変更すると、節電効果があります。
ただし、スキャンモードを Auto に変更することにより、スキャンの間隔が広がり、スムーズにローミングできなくなる恐れがあります。
節電を重視するか、ローミングの速さを重視するかをご検討の上、設定変更を行ってください。設定する項目は Cisco Unified Communications Manager (Unified CM) の以下の箇所になります。
Device > Phone >「該当のCP-8821」> Scan Mode