1. はじめに
このドキュメントは Nexus 9000 シリーズの FEX を使用する際の注意事項について取りまとめたものです。
2. 概要
これまでの Nexus 5500/5600 シリーズと異なり Nexus 9000 シリーズでは FEX のいくつかの制限や異なる動作が確認されております。
このドキュメントの内容は実際に TAC にケースとして挙がった事例を元に作成しています。
3. 注意事項
3.1 Nexus 9000 シリーズでサポートされる FEX と Topology
これまで Nexus 5500/5600 シリーズでサポートされていた構成が Nexus 9000 サポートされない、もしくは推奨されない場合があります。よって、単純にリプレースした場合、そのままご利用になれない場合が想定されます。Nexus 9000 シリーズでの FEX のサポート状況については以下のドキュメントを熟読する事を推奨いたします。
3.2 pre-provisioning 非サポート
Nexus 9000 シリーズでは FEX を認識していない状態でもホストインターフェース (HIF) の設定を行う pre-provisioning がサポートされておりません。
前提の情報となりますが、NX-OS の実装としてアスキー形式とバイナリー形式で Startup-confing を保持しています。
"install all" を使用しない,もしくは非サポートのパスでアップグレード / ダウングレードを実行した場合,バイナリー形式の Startup-config が互換性の問題で参照できない場合があり、その場合アスキー形式の Startup-config 読み込まれます.
アスキー形式の Startup-confing は順に設定を読み込むだけの動作となり、HIF の設定を読み込む時点で FEX が認識されていない場合、HIF の設定は全て破棄され、無設定の状態で FEX が起動します。
※ 設定が破棄された場合、running-config/startup-config 上から設定が消失されます
3.3 Dual-homed FEX (Active/Active FEX)
Dual-homed FEX は Nexus 9300/9300-EX シリーズで 7.0(3)I5(2) 以降からサポートが開始されています。その後、サポート製品は追加されています。
ですが、Nexus 9000 シリーズの Dual-homed FEX 構成では NX-OS のアップグレード、ダウングレードの際に移行バージョンのイメージのプレダウンロードが行われません。そのため、vPC ピアの 2 台めの再起動のタイミングで分単位の通信断が発生します。これは再接続された後、親スイッチから移行バージョンのイメージのダウンロードが始まるためで、ダウンロードの完了及び起動まで通信が行えない事が原因となります。なお、このドキュメント作成時点で、プレダウンロードの実装予定はありません。
※ なお ISSU (non disruptive upgrade) も非サポートです
以上の事から Nexus 9000 シリーズでの Dual-homed FEX は推奨いたしません。
なお、この項で説明している Dual Homed FEX の構成は、前述の Supported/Unsupported Topologies のドキュメントの以下の三つの構成を指します。
- Single Homed Host and Active-Active FEX (VPC) Design
- Dual Homed Host (Active/Standby) and Active-Active FEX (VPC) Design
- Host Port Channel and Active-Active FEX Desig
3.4 推奨バージョン
Nexus 9000 シリーズでは 7.0(3)I5(1) から FEX の利用可能となりましたが、機能実装直後の古いバージョンの NX-OS では多数の不具合が報告されています。そのため、FEX を利用される場合は Recommended Cisco NX-OS Release のドキュメントで記載されたバージョンよりも、より新しバージョンを使用した場合がよいケースが報告されています。Release Note の確認を行い、Resolved Caveats に FEX に関わる不具合が確認できた場合、そのバージョン以降の利用を推奨します。
4. 備考
このドキュメントの内容は予告なく変更される場合があります。
5. 関連コンテンツ
Nexus スイッチ (NX-OS) : 設定例