はじめに
本ドキュメントはインターフェース設定 / L2機能に関連する NX-OS と IOS の主な違いを一覧にしています。
※1 記載内容は Nexus 7000 (NX-OS), Catalyst 6500 (IOS) の動作に基いたものとなります。 ほぼ全ての Nexus 製品、 多くのCatalyst 製品/IOS ルータ製品 で同様の実装となっておりますが、いくつかの項目に関しては、製品によって実装が異なる場合がございますのでご注意ください。
※2 記載内容は2016年1月時点の NX-OS と IOS の実装を元に記載しています。実装は今後も変更される可能性もございますのでご注意ください。
差分一覧
L2 Interfaces |
Cisco NX-OS |
Cisco IOS |
備考 |
Switchport モード (Default) |
Access |
Dynamic Desirable |
IOS では switchport mode dynamic desirable がデフォルトとなります。 |
トランクカプセル (Default) |
802.1q |
Negotiate |
NX-OS は ISL をサポートしておらず、Negotiation も動作しません。 IOS 機器が Nexus 機器とのトランクポートを構成するには IOS 側で switchport trunk encapsulation dot1q 設定が必要です。 |
interface 名 |
一律 |
帯域毎に異なる |
NX-OS では回線速度に関わらず一律 Ethernet となりますが、IOS では回線速度に応じて Fastethernet, GigabitEthernet, 10GigabitEthernet, などの名前になります |
interface の range 指定 |
range オプション不要 |
range オプション明示 |
NX-OS では interface を range 指定する場合に、特に明示する必要がありませんが、IOS では interface range コマンドによる明示が必要です。 |
interface 設定のプロファイル化 |
port-profile |
template + AutoConf |
複数インターフェースへの同じ設定をプロファイル化できます。 Catalyst ではさらに AutoConf 機能を用いて設定されたデバイスへの自動設定が可能です。 |
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L3 Interfaces (IP) |
Cisco NX-OS |
Cisco IOS |
備考 |
IP アドレスサブネット指定 |
プレフィックス長 |
サブネットマスク |
NX-OS では ip address 設定にプレフィックス長を指定することができます。 例) NX-OS: ip address 192.168.0.1/24 IOS: ip address 192.168.0.1 255.255.255.0 |
Proxy-ARP |
無効 (default) |
有効 (default) |
NX-OS では ip proxy-arp 設定によりインターフェース毎に Proxy-ARP を有効にできます。 |
Unreachables (ICMP) |
Port Unreachable のみ |
有効 (default) |
NX-OS ではデフォルトで Port Unreachable のみを応答します。IOS ではデフォルトで全ての ICMP Unreachable の応答を返します。 |
ARP タイムアウト (Default) |
1500 (seconds) |
14400 (seconds) |
NX-OS では IOS と比較し大幅に短い時間でタイムアウトとなります。 ARP Update により MAC エントリがリフレッシュされるように、MAC エージングタイマーは ARP キャッシュタイマーより長くするべきです。 |
Loopback Interface 設定範囲 |
0-1023 |
0-2147483647 |
設定可能数ではなく、設定可能なインターフェース番号ですので、ご注意ください。 |
ACLモード |
名前付き拡張ACL |
標準/拡張ACL |
IOS では 1-99 までの番号を指定する標準ACL, 100-199 までの拡張ACLと、番号を用いない 標準 / 拡張 ACL の4つのモードが指定できますが、NX-OS では名前付き拡張ACL のみです。 |
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Port-Channel Interfaces |
Cisco NX-OS |
Cisco IOS |
備考 |
Port-channel Interface 設定範囲 |
1-4096 |
1-256 |
設定可能数ではなく、設定可能なインターフェース番号ですので、ご注意ください。 設定可能数は機器に依存するためマニュアル等をご参照ください。 |
Port-channel 生成時の Interface 状態 |
Operational Down |
Admin. Down |
NX-OS では Bind されているインターフェースがない状態では Operational Down となります。 IOS では no shutdown により有効化する必要があります。 |
Port-channel mode |
LACP / static |
LACP / PAgP / static |
NX-OS では PAgP はサポートされません。 |
LACP Graceful-Convergence |
有効 |
無効 |
NX-OS ではデフォルトで LACP プロトコル収束が高速化されています。 no lacp graceful-convergence により無効化できます。 |
LACP Max-Bundle |
16 |
8 |
- |
LACP Suspend-Individual |
有効 (Nexus 7000) / 無効 (Nexus 5000 など) |
無し |
PXE boot などが利用される場合には起動ソフトウェアが LACP に対応していない場合があり、接続機器が正常に boot できない場合があるため、Nexus 5000 ではデフォルトで individual ステートに移行します。 |
Port-channel with BFD and routing protocol |
サポート |
非サポート |
NX-OS では port-channel 上で構成される routing protocol (neighbor) に対し BFD がサポートされます。 |
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QoS |
Cisco NX-OS |
Cisco IOS |
備考 |
QoS グローバル設定 (default) |
有効 |
無効 |
Catalyst 製品では mls qos を設定することによりQoSが有効になります。 なお、SUP 2T 以降ではデフォルトの動作が変更されています。 Change in Default QoS Behavior
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Interface Trust 状態 |
Trusted |
Untrusted |
NX-OS では デフォルトで全ての CoS(L2) / DSCP(L3) / ToS(L3) の値を変更しません。 IOS ではQoS動作時全ての CoS(L2) / DSCP(L3) / ToS(L3) の値をクリアします。 なお、Catalyst の SUP 2T 以降ではデフォルトの動作が変更されています。 Change in Default QoS Behavior
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L2 Feature |
Cisco NX-OS |
Cisco IOS |
備考 |
デフォルトMAC エージングタイマー |
1800 (seconds) |
300 (seconds) |
IOS と比較し、NX-OS では長時間 MAC エントリを保持し続けます。 NX-OS では mac address-table aging-time <0, 120-918000> 設定により変更可能です。 ARP Update により MAC エントリがリフレッシュされるように、MAC エージングタイマーは ARP キャッシュタイマーより長くするべきです。 |
拡張 VLAN |
1006-4094 |
1006-4094 |
NX-OSでは設定により拡張 VLAN を有効にする必要はありません。 |
予約済みVLAN範囲 |
3968-4047,4094 |
1002-1118 |
NX-OS では system vlan <#> reserve 設定により範囲を設定変更できます。 |
デフォルト VTP モード |
Disabled |
Transparent |
IOS はデフォルトで VTP を透過しますが、NX-OS はデフォルトでドロップします。 |
デフォルト STP モード |
Rapid-PVST+ |
PVST |
STP では下位互換はありますが、NX-OS と IOS が混在するスイッチトポロジなどでは、同じモードを使用することが推奨されます。 |
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