※ 2019 年 3 月 28 日現在の情報をもとに作成しています
1. はじめに
前回の記事では、Roaming Client のステータスについて取り上げ、その中の「Offline」は、クラウド上の Umbrella API と何らかの理由により同期が取れなくなった場合に使われるステータスだと述べました。本記事では、この Roaming Client と Umbrella API の間で行われている同期について、さらに掘り下げて解説します。
2. 同期について
Roaming Client はクラウド上の Umbrella API と一定間隔 (現在は約 1 時間)、および Umbrella Roaming Client サービスの起動時に同期を行います。
この同期は必ず Roaming Client 側から通信が開始されます。これは、Roaming Client がインストールされた PC がファイアウォールなどのネットワーク機器の内側にあり、Umbrella API 側から通信を開始されると Roaming Client がパケットを受け取れない可能性があるためです。
そして、この同期でやり取りされる情報は、C:\ProgramData\OpenDNS\ERC フォルダーにあるログ ファイル OpenDNS_ERC_Service.log に記録されます。また、同じフォルダーにある sync-latest.json には、直近の同期で Umbrella API から受け取った情報がそのまま記録されます。
なお、同期でやり取りされる情報の詳細は、サポート記事などで公開されている一部のものを除き、基本的に非公開となっています。
3. Umbrella API について
Roaming Client の同期の相手となるクラウド上の Umbrella API は、かつて「api.opendns.com」が担っていました。
その後、Roaming Client の同期能力の向上のため、新しく「sync.hydra.opendns.com」が用意され、Roaming Client との同期に関しては、sync.hydra.opendns.com が使われるようになりました。
以下の表から分かるとおり、sync.hydra.opendns.com には現在 10 個の IP アドレスがアサインされており、スケーラビリティが強化されていることが分かります。
|
api.opendns.com |
67.215.92.210 |
|
sync.hydra.opendns.com |
146.112.63.3-9、146.112.63.11-13 ※ 146.112.63.0/24 の範囲内で、今後拡張される可能性あり |
なお、api.opendns.com は、現在も Roaming Client のデバイス登録の通信相手として使われています。
4. 同期に失敗した時の動作について
Roaming Client がネットワークのトラブルなどで sync.hydra.opendns.com との同期に失敗した場合、一体何が起きてしまうのでしょうか。
まず、前回の記事でも触れましたが、Roaming Client の最新のステータス情報がクラウド側に伝わらなくなります。この後も何度か定期的な同期が試みられますが、それでも失敗を続けた場合、最終的に Umbrella Dashboard 側のステータスが Offline になります。
もう 1 つは、Umbrella Dashboard の設定情報が Roaming Client 側に伝わらなくなります。最も顕著な影響としては、Roaming Client が内部と外部のドメインの仕分けに使う「Internal Domains」の最新情報を受け取れなくなることが挙げられます。
一方で、「ポリシー」などのように、そもそも Roaming Client 側が直接使うものではなく、クラウド側で使われる設定については、この影響を受けません。
なお、Umbrella Dashboard 側のステータスが常時 Offline となるような Roaming Client の運用は、予期しない問題が発生する可能性があるため、推奨しておりません。
5. 参考情報
Important firewall changes for Umbrella roaming client users
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