はじめに
本ドキュメントでは、Secure Endpoint Connectorを導入した端末において、CPU高負荷などのパフォーマンスの問題や、他のソフトウェアとの競合によって、Secure Endpoint Connectorもしくは他のソフトウェアが正常に動作しない問題が発生した場合の対応方針およびその具体的な手順について説明しております。また、各手順毎における注意事項も併せて補足しております。
前提条件
本記事では、Windows Connector v8.4.2にて動作確認をしております。
また、Windows ConnectorにおけるExclusionsを用いた対応方法を中心に説明しておりますが、他のOSでも対応方針に大きな違いはございません。
基本的な対応方針
Secure Endpoint Connectorは、端末上でのファイルの作成、移動、実行のタイミングでMalware判定のためのファイルスキャンを実施します。その際、特定のプロセスによるディレクトリへの大量のファイル書き込み等により、大量のスキャンが発生し、CPU高負荷などのパフォーマンス問題を引き起こす場合がございます。また、他のソフトウェアに関連するファイルを大量にスキャンしたりマルウェア判定をすることで他のソフトウェアの動作に影響を及ぼす場合がございます。こういったパフォーマンス問題やソフトウェア競合問題は、スキャンが多く発生している対象のディレクトリやファイルとその生成元のプロセスを特定し、それらをExclusions(除外)設定に追加してスキャンの対象から除外することによって解決される場合がございます。
なお、パフォーマンスに関する問題やソフトウェア競合の問題の中には、Exclusionsを使っても解決しない場合もあり、その場合は、疑わしいと考えられる機能を無効にすることや、Connectorそのものを一旦アンインストールすることで、さらに切り分けを実施いただく必要がございます。
Ciscoが維持している除外設定について
Ciscoが維持している除外設定とは、他社ベンダー製品の動作への影響や他社セキュリティ製品との競合が発生することを回避するためにシスコ側で事前に作成した除外設定となります。これらは、他社ベンダーが公開している情報やシスコ側での事前のテストを元に作成されたものとなりますため、お使いの製品に応じてご利用いただくことが推奨となります。例えば、Microsoft Exchangeサーバー用にMicrosoft Exchange Server v2013 - 2019という除外設定が用意されております。
Ciscoが維持している除外設定は日々メンテナンスされており、更新情報はこちらで公開されております。
なお、ベンダーによっては製品の除外対象の情報を公開しておらず、シスコが維持している除外設定の一覧にお使いのベンダーのセキュリティ製品等の除外設定がない可能性もございます。その場合は、情報をベンダーから入手いただき、サポートケースにて除外設定の追加のお問い合わせをいただければと思います。また、一覧にない場合には、お客様自身でカスタムの除外設定を作成いただくことも可能です。
同様に、Secure Endpoint側でも他社アンチウイルスソリューション向けに除外一覧をこちらで公開しております。
除外対応の流れ
スキャンが多く発生している対象のディレクトリやファイルとその生成元のプロセスの特定
基本的な方針で説明した通り、まずは、スキャンが多く発生している対象のディレクトリやファイルとその生成元のプロセスを特定する必要があります。それらの特定に必要な情報を取得するためのOSごとの手順についてここでは説明いたします。
Windows
まずは、問題となっている事象が発生しているタイミング(再現方法が分かっていれば事象を再現をさせて)で、Debugを有効にした状態でDiagnosticsファイルを取得いただく必要があります。Diagnosticsファイルの取得に関しては以下の記事をご参照ください
Secure Endpoint: Windows ConnectorでのDiagnosticファイル取得方法
Debugを有効にした状態でのDiagnosticsファイル取得のタイミングに関しては、以下の記事をご参照ください。
[Secure Endpoint] Debugログ取得時の注意事項
Diagnosticsファイルを取得しましたら、こちらの記事に記載のツール(Diag_Analyzer.exe)をお使いいただくことで、ログの情報を集計し、以下の情報を取得すること可能です。取得したDiagnosticsファイルと同一ディレクトリにてツールを実行いただくと、以下の情報を含む、CiscoAMP_Support_Tool_xxxx_xx_xx_xx_xx_xx-summary.txtという名前のファイルが作成されます。取得したDiagnosticsファイルは解凍せずに、取得した状態のまま(ファイル拡張子が7zまたはzip)で実行をお願いいたします。Diag_Analyzer.exeはこちらから直接ダウンロードいただくことも可能です。
・スキャンが実行されたファイルを多く生成したプロセスTop10
・スキャンが多く実行されたファイルTop10
・スキャンが多く実行されたファイル拡張子Top10
・スキャンが多く実行されたファイルパスTop100
・スキャンが実行されたすべてのファイル
Mac/Linux
Mac/LinuxのConnectorはDebugを有効にした状態でのDiagnosticsを取得いただくと、スキャンが実行されたファイルを多く生成したプロセス(execs.txt)とスキャンが多く実行されたファイルパス(fileops.txt)に関する情報が事前に含まれています。
詳細についてはこちらの記事をご参照ください。
Exclusionsの登録方法
ここでは、実際にWindows環境でのログからDiag_Analyzer.exeを実行して取得した情報を元に、Exclusionsを登録する方法を示します。以下の結果は実際にCPU高負荷などの問題が発生した環境で取得したものではなく、あくまで手順を示すための例となります。除外設定の手順についてはこちらの記事でも紹介しております。
Exclusionsの設定はセキュリティリスクとのトレードオフであるため、可能な限り、問題となっている箇所のみを追加するようご注意ください。また、こちらの記事に除外設定のベストプラクティスおよび弊社から除外を推奨しないファイルパスおよびプロセスについて公開しておりますのでご参考にしていただけますようお願いいたします。
以下は、Debug付きDiagnosticsの対してDiag_Analyzer.exeを実行して取得した情報になります。
(一部の情報は省略しております。)
Top 10 Processes:
423 C:\Program Files (x86)\Google\Chrome\Application\chrome.exe
308 C:\Windows\explorer.exe
168 C:\Users\testuser\AppData\Local\Programs\Python\Python37-32\python.exe
150 C:\Users\testuser\AppData\Local\Packages\CanonicalGroupLimited.UbuntuonWindows_79rhkp1fndgsc\LocalState\rootfs\usr\bin\python3.6
112 C:\Program Files\JetBrains\PyCharm Community Edition 2018.3\bin\pycharm64.exe
83 C:\Windows\System32\wbem\WmiPrvSE.exe
64 C:\Windows\System32\WindowsPowerShell\v1.0\powershell.exe
55 C:\Program Files (x86)\Atlassian\HipChat4\HipChat.exe
29 C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\OUTLOOK.EXE
25 C:\Windows\System32\svchost.exe
Top 10 Files:
22 C:\Windows\CCM\clientstate.dat
21 C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\Microsoft\Windows\PowerShell\StartupProfileData-NonInteractive
13 C:\Users\testuser\.PyCharmCE2018.3\system\caches\records.dat
10 C:\ProgramData\NVIDIA Corporation\Drs\nvAppTimestamps
10 C:\Users\testuser\.PyCharmCE2018.3\system\caches\contentHashes.dat.keystream
10 C:\Users\testuser\.PyCharmCE2018.3\system\caches\contentHashes.dat_i
10 C:\Users\testuser\.PyCharmCE2018.3\system\caches\contentHashes.dat
9 C:\Users\testuser\.PyCharmCE2018.3\config\options\recentProjectDirectories.xml
9 C:\Users\testuser\AppData\Local\Temp\decompress.py\.idea\workspace.xml___jb_tmp___
8 C:\Windows\CCM\StateMessageStore.sdf
Top 10 Extensions:
372 txt
233 tmp
81 gz
56 dat
53 vbs
52 xml
50 db
45 ps1
39 tar
22 psm1
Top 100 Paths:
306 C:\Users\testuser\Desktop\TEST\decompress
293 C:\$Recycle.Bin\S-1-5-21-1708537768-1303643608-725345543-9394300
168 C:\Users\testuser\AppData\Local\Google\Chrome\User Data\Default\Cache
167 C:\Users\testuser\AppData\Local\Google\Chrome\User Data\Default
75 C:\Windows\CCM\SystemTemp
46 C:\Windows\Temp
...
All Files:
22 C:\Windows\CCM\clientstate.dat
21 C:\Windows\System32\config\systemprofile\AppData\Local\Microsoft\Windows\PowerShell\StartupProfileData-NonInteractive