はじめに
このドキュメントでは、主に屋内向け AP を PoE 給電する場合に、802.3at給電(以下 at給電) または 802.3af 給電(以下 af 給電)によって制約や動作の違いがあるかどうかについてまとめています。主に at 給電を想定している AP で af 給電により起動すると、MIMO のストリーム数が減少するなど、機能に制約があります。
なお、表中で af 給電しか記載のない AP は、at 給電可能な設備であっても af 給電分しか使用しません。
現行の Injector について
ドキュメント作成時点で販売している屋内向け AP の Power Injector は、AIR-PWRINJ5(af 給電) と AIR-PWRINJ6(at 給電) となります。
過去には AIR-PWRINJ4(at 給電)もありましたが現在販売は終了しております。AIR-PWRINJ4 の後継は AIR-PWRINJ6 となります。データシートなどで AIR-PWRINJ4 が必要と書かれている製品を新たに導入するような場合には、AIR-PWRINJ6 をご使用ください。
End-of-Sale and End-of-Life Announcement for the Select Cisco Power Injectors
IOS AP
AP型番 |
給電規格 |
MIMO |
その他制約事項等 |
AIR-CAP702I-Q-K9 |
802.3af |
2x2:2 |
|
AIR-CAP702W-Q-K9 |
802.3af |
2x2:2 |
|
802.3at |
2x2:2 |
PoEポートで class 0 を供給可能 |
AIR-CAP1602I-Q-K AIR-CAP1602E-Q-K |
802.3af |
3x3:2 |
|
AIR-CAP2602I-Q-K9 AIR-CAP2602E-Q-K9
|
802.3af |
3x4:2 |
|
AIR-CAP3602I-Q-K9 AIR-CAP3602E-Q-K9
|
802.3af |
4x4:3 |
11ac Module (AIR-RM3000AC-Q-K9=)なし、 または 11ac Module + 5G |
802.3at |
4x4:3 |
11ac Module 使用時 |
AIR-CAP1702I-Q-K9
|
802.3af |
3x3:2 |
|
AIR-CAP2702I-Q-K9 AIR-CAP2702E-Q-K9
|
802.3af |
3x3:3 |
|
802.3at |
3x4:3 |
|
AIR-CAP3702I-Q-K9 AIR-CAP3702E-Q-K9
|
802.3af |
3x3:3
|
WSM(AIR-RM3000M=) 使用時は 2x2:2 |
802.3at |
4x4:3 |
|
COS AP(WAVE2 AP)
AP型番 |
給電規格 |
MIMO |
その他制約事項等 |
AIR-AP1810W-x-K9 |
802.3af |
2x2:2 |
|
802.3at |
2x2:2 |
PoEポートで class 0 を供給可能 |
AIR-AP1832I-Q-K9 |
802.3af |
3x3:2 |
USB ポート使用不可 |
802.3at |
3x3:2 |
|
AIR-AP1852I-Q-K9 AIR-AP1852E-Q-K9
|
802.3af |
2x3:3 |
USB/AUX ポート使用不可 |
802.3at |
4x4:3 |
SU-MIMO の場合は 4x4:4 |
AIR-AP2802I-Q-K9 AIR-AP2802E-Q-K9
|
802.3af |
N/A |
AP は起動するが Radio は Down |
802.3at |
4x4:3 |
|
AIR-AP3802I-Q-K9 AIR-AP3802E-Q-K9 AIR-AP3802P-Q-K9
|
802.3af |
N/A |
AP は起動するが Radio は Down |
802.3at |
4x4:3 |
USB 使用時は AC アダプター必須 |
PoE SW と Injector を接続する場合の注意事項
従来 af 給電の AP を使用していて at 給電が必要な AP に置き換えるなどの理由で、PoE SW(af 給電)と Injector(at 給電) を接続する場合、接続順によっては Injector ではなく SW からの給電となることがあります。
例:
PoE SW(af 給電)---(LinkA)---AIR-PWRINJ6(at 給電)---(LinkB)---AP(at 必要) ※ Injector に通電状態
LinkB を接続して AP が起動してきてから LinkA を接続 -> at 給電
LinkA が接続状態で LinkB を接続して起動 -> af 給電
このような接続の場合に確実に at 給電をするためには、PoE SW 側で給電をしない設定にしてください。
PoE SW で at 給電をする場合の注意事項
PoE SW で AP に at 相当の給電をするには、CDP 又は LLDP で供給電力を negotiation をする必要があります。いずれのプロトコルも動作していないなど negotiation が行われない場合、各 AP は af 相当の給電しか受けられません。
また、弊社製 SW においては一度いずれかのプロトコルで negotiation を実施すると、以降は同じプロトコルでのみ negotiation を行う仕様となっています。例えば AP 起動時に一度 CDP で negotiation を行い、その後 AP で CDP を disable として LLDP での negotiation をさせようとした場合、そのままではスイッチ側では CDP での negotiation を期待する状態となり LLDP は使用されません。結果として AP 再起動時に negotiation が行われず af 給電となってしまいます(これは LLDP から CDP に変更する場合も同様です)。
この場合、一度スイッチ側で対象のポートを shut/no shut するかケーブルを抜き差しするなどして、PD (今回の場合 AP)の検出からやり直す必要があります(PD の再起動では PD の再検出は行われません)。