はじめに
シスコではソフトウェア製品およびハードウェア製品を展開する際に、開発時のテストを実施して品質を確保しています。それら製品は全世界へ出荷、展開されることが通常であり、日本での展開を特別に考慮したものではありません。しかしながら時には日本市場特有の環境が要因となる予期せぬ動作や障害、不具合が発生することがあるのもまた事実です。例えば、エンドユーザが利用するブラウザやオペレーティングシステムが日本語版である場合に限り発生する事象や、GUI への入力や表示が日本語である場合に限り発生する事象、そして日本国内でしか利用されていない端末をシスコ製品へ接続した場合に限り発生する事象などです。
このような日本市場特有の状況を考慮した追加検証を製品の発売前に実施し、出荷時の製品の品質向上へ寄与する取り組みが「日本市場向けワイヤレス ソリューション検証」プロジェクトです。新たなメジャーリリースが開発される度にワイヤレスソリューションに含まれる各種ハードエアおよびソフトウェア、そして Wi-Fi クライアントを組み合わせて様々なユースケースを想定した検証を実施し、その結果をレポートにまとめ、10年以上に渡り公開してきました。各ユースーケースの結果が「合格」であれば問題ありませんが、「不合格」であった場合は不具合として調査し、可能な限り製品発売前に修正を実施し、修正済の状態でリリースするように開発部門へフィードバックを実施しています。
通常はこのソリューション検証レポートはシスコパートナーの皆様に限定して公開していますが、本記事においては特別版としてコミュニティの皆様へ広く公開いたします。製品導入時、あるいは製品アップグレード時にお客様で独自に検証を実施されることが多いと思いますが、その際に本レポートの結果も併せてご利用いただければ幸いです。本記事添付の PDF ファイルをご確認ください。
本レポートの概要と目的
シスコが発行したフィールドノーティス:FN74035 により、従来の AireOS コントローラ、IOS-XE コントローラ、アクセスポイント、および多くの他のデバイスが影響を受けています。FN74035 に対応するにはアップグレードが必要ですが、その新しいバージョンについて日本市場向けワイヤレスソリューション検証の仕組みを利用しリグレッションテストを実施しましたので、本テストレポートをご参考・ご利用いただけますようお願いいたします。
• 今回実施したシスコワイヤレスLANリグレッションテストは、日本の使用法と市場に特有の要件を考慮したソリューションレベルで行われた追加のテストです。
• 本レポートの内容は、記載の構成図、構成機材、リリース、および各設定を用いた限定的な環境下において、最も典型的な利用シナリオを想定して検証された結果です。
• 本テストの要件は、複数のワイヤレスコントローラ、アクセスポイント、無線クライアント、日本語OS、ISE認証サーバ、Prime Infrastructure、Catalyst Centerが存在することを考慮しています。
• テスト項目は以下基準に基づいております:
- 高優先度のシナリオと基本的なリグレッション機能
- シスコSE/TACからのフィードバック