※ 2025/1現在、Virtual APIC (vAPIC) は Japan TAC 未サポートとなります。
ACI 4.0(1)以降ではスケーラビリティに制約があるものの仮想アプライアンス版の APIC である Virtual APIC (以下 vAPIC) の利用が可能となりました。従来、ACI は検証や評価目的の場合を除き、APIC は3台以上でのクラスタ構成で利用することがサポート要件として規定されていましたが、vAPIC を利用する場合には物理 APIC (Phyiscal APIC, 以下 pAPIC) は1台のみの構成での本番利用がサポートされるようになります。
2019/5時点では、vSphere 6.5以降で展開可能な OVA を cisco.com よりダウンロード頂くことが可能です。1台の pAPIC と2台の vAPIC を組み合わせる構成がサポートされています。Spine x2台、Leaf x4台までの小規模環境のみがサポートされており、Tenant 数や BD, EPG 数などについても制限があります。詳細は利用バージョンの Verified Scalability Guide を参照下さい。
2019/5時点では、vAPIC 利用構成において Multi-Pod, Remote Leaf, GOLF, Virtual Podなどの利用はサポートされていません。しかし ACI 4.1 から Multi-Pod との組み合わせはサポートされました。

vAPIC 展開前に、pAPIC による Fabric の初期 Discovery と構成が完了している必要があります。また、vAPIC を配置する ESXi ホストは対象 ACI Fabric の Leaf に直接接続されている必要があります(FI 経由の Blade サーバなどでも可)。2019/5時点で、vAPIC は ESXi ホストのローカルストレージで構成されたデータストアへ展開する必要があり、vMotion, DRS, HAなどはサポートされていません。

vAPIC は pAPIC と 同様に OOB ネットワーク(ACI Fabric に依存しない管理ネットワーク)と、ACI Fabric の Infra VLAN の両方に接続する必要があります。そのため、vAPIC を展開する ESXi ホストが接続している Leaf インターフェイスに紐付けられている Interface Profile には、Infra VLAN が有効化されている AEP が紐付けられている必要があります。
vAPIC を展開する ESXi ホストの仮想スイッチは、VMM Domain 連携していてもいなくても構いません。標準仮想スイッチ、分散仮想スイッチのいずれでも構いません。VMM Domain 連携した vDS を利用している場合は、[Configure Infra Port Groups] のチェックボックを有効にすることにより、自動的に Infra VLAN に紐付いたポートグループが作成されます。

vAPIC の展開時には、pAPIC が正常に可動している必要があります。また、vAPIC 展開時には既存 APIC で生成された APIC Passphrase の設定が必要となります。APIC Passphrase は60分毎に再生成されているため、vAPIC のインストール時には注意が必要です。vAPIC の展開中に APIC Passphrase が変更されてしまった場合には、vAPIC の既存 APIC クラスタへの参加が正常に完了しません。そのため、30分以上(可能であれば45分以上) Expire までに時間があるタイミングで vAPIC の展開を実行されることを推奨します。

vAPIC は OVA を用いて展開するか、要件を満たす仮想マシンを作成の上で APIC ISO を用いて展開することが可能です(OVA 利用を推奨)。OVA を用いて展開する場合は、一般的な OVA を用いた仮想アプライアンスの展開と同様の手順となります。

ネットワークの構成では、OOB Network と Infra Network を間違えないように指定して下さい。初期構成時に適切な接続性が構成されないと、vAPIC の APIC クラスタへの参加が正常に行われません。

vAPIC の場合、pAPIC とは異なり CLI による初期構成は必要ありません。OVA ファイル展開時の Customize template パラメータとして指定します。pAPIC での構成と合わせる必要があるパラメータがあるため、入力ミスにはご注意下さい。

OVA の展開が完了後、vAPIC を起動すると自動的に初期構成が実行され、APIC クラスタへの追加までが自動的に行われます。以降の管理は、vAPIC / pAPIC の違いに関係なく行っていただくことが可能です。アップグレードやメンテナンスについても、違いはありません。APIC クラスタ構成後に何らかの理由で pAPIC が停止しても、vAPIC x2台で継続的に ACI Fabric を管理頂くことが可能です。

Virtual APICについては、公式ガイド TechNote として、以下の [Cisco Mini ACI Fabric and Virtual APICs]が公開されていますので、合わせて参照下さい。
https://www.cisco.com/c/en/us/td/docs/switches/datacenter/aci/apic/sw/kb/Cisco-Mini-ACI-Fabric-and-Virtual-APICs.html