はじめに
着信がある際に、電話機には発信者番号ではなく、「Anonymous」または「Unknown」 と表示される場合があります。(下の図は「Anonymous」と表示される時の例となります)

こちら二つの表示が網側からVoice Gatewayに転送されてきたNTTの発番号表示識別子と関連しています。本文はVoice Gatewayにてデバッグログの分析を加えながら、「Anonymous」または「Unknown」と表示される条件について説明します。
1 構成図

2 試験情報
Debug実施:debug ccsip message / debug isdn q931

3 発番号情報要素分析
『NTT ISDN 技術参考資料: 第3分冊レイヤ3回線交換編: メッセージフォーマットと情報要素コーディング』によると、“発番号”情報要素は、呼の発信元を識別するのに使用され、下記示すようにコード化されております。
発信者番号の表示内容は上記発番号情報要素のオクテット3a行の「表示識別子」により決定されます。
ビット7 6
0 0 表示可
0 1 表示不可
1 0 相互接続条件により表示できる番号なし
1 1 予約済
上記の表示ルールに基づいて、発信者番号の表記について分析しましょう。
3.1 正常に表示されるパターンの ISDN q931メッセージ

Calling Party Number i = 0x0083, ‘XXXXXXXXXX'
オクテット3aの83を二進数にすると、1000 0011となり、ビット7 6は0 0にあたるため、「表示可」となります。したがって、後ろに発信者番号が表示されます。
3.2 Unknownと表示されるパターンのISDN q931メッセージ

Calling Party Number i = 0x00C3, N/A
オクテット3aのC3を二進数にすると、1100 0011となり、ビット7 6は1 0にあたるため、「相互接続条件により表示できる番号無し」となります。したがって、後ろに発信者番号がN/Aとなり、電話機側にてUnknownと表示されます。ここでの「相互接続条件」はアナログとISDNの相互接続を指します。
3.3 Anonymousと表示されるパターンのISDN q931メッセージ


Calling Party Number i = 0x00A3, N/A
オクテット3aのA3を二進数にすると、1010 0011となり、ビット7 6は0 1にあたるため、「表示不可」となります。したがって、後ろに発信者番号がN/Aとなり、電話機側にてAnonymousと表示されます。ここでの「表示不可」は184を付けることで発信者番号を強制的に表示しないようにすることを指します。
*日本語ロケールの場合、「非通知」、「不明」等の表示になります。
IP Phone 機種によっては、表示が異なる場合があります。
参考情報
『NTT ISDN 技術参考資料: 第3分冊レイヤ3回線交換編: メッセージフォーマットと情報要素コーディング』