※ 2023 年 1 月 26 日現在の情報をもとに作成しています
1. はじめに
本記事では、Umbrella Dashboard の管理 > ログ管理 (Log Management) で利用可能な機能について説明します。
2. Data Storage
Data Storage では、Umbrella Dashboard のレポート メニューにある各種レポート画面で使われている実際のデータの保存先 (ロケーション) を指定できます。
デフォルトでは、カリフォルニアにあるデータセンターが設定されていますが、データ保持に関する法令などに順守する目的で、データのロケーションをヨーロッパのデータセンターに変更することが可能です。
※ ポリシーの設定情報など、レポート以上の組織固有の情報については、常にカリフォルニアに保存されます
※ データの保存先を日本にすることはできません
なお、設定の変更を行っても、元のロケーションに既に保存されたデータが移動されることはありません。あくまで、これから保存されるデータのロケーションが変わる機能となります。
また、別のロケーションに保存されたデータは、Umbrella Dashboard のレポートには表示されないため、切り替えを頻繁に行うと、データが分散してしまい、レポート機能を活用する上での支障となります。
3. Amazon S3
Amazon S3 機能は、アクティビティ検索レポート (および管理者監査ログ) のログを Cisco の外部サーバー (Amazon S3) にも保存する機能です。
この機能を使うと、直近 10 分間のログが CSV に変換され、gzip 形式で圧縮されてから Amazon S3 に送信されます。
そもそも、なぜこのような機能が用意されたかというと、主に以下 2 つの理由があります。
- アクティビティ ログの保持期間 (1 ヵ月) よりも長くログを保持しておきたい
- アクティビティ ログを SIEM (Security Information and Event Management) 製品などに送りたい
特に後者は重要で、現時点においてアクティビティ ログを他製品に送るには、Amazon S3 を受け渡し場所として使う必要があります。
なお、Amazon S3 機能は、以前は組織が所有する Amazon S3 の契約 (Company-managed と呼ばれる) のみを使用することが可能でした。Company-managed の設定方法は以下の公開文書に記載があります。
Enable Logging to Your Own S3 Bucket
https://docs.umbrella.com/umbrella-user-guide/docs/enable-logging-to-your-own-s3-bucket
現在は、Cisco-managed の Amazon S3 機能を利用できるようになりました。次項で詳しく説明します。
4. Cisco-managed Amazon S3
Cisco-managed というのは、Cisco が契約している Amazon S3 にログを保存するという意味で、Umbrella の契約があれば、無料で利用することが可能です。
こちらを選択するメリットは以下の 2 点です。
- Amazon S3 のアカウントを用意する必要がない
- ウィザードを進めていくだけで設定が可能で、非常に簡単である
実際の設定方法については、以下の公開文書に記載があります。
Enable Logging to a Cisco-managed S3 Bucket
https://docs.umbrella.com/umbrella-user-guide/docs/enable-logging-to-a-cisco-managed-s3-bucket
ただし、以下のようなデメリットがありますので、注意が必要です。
- Amazon S3 内のログの保存期間は最長 30 日である
- Cisco が管理しているため、ユーザーには読み取り権限しか与えられておらず、一部の SIEM との連携が動作しない場合がある
- 読み取り権限しかないため、ログ以外の別のファイルを保存する機能はない
- Amazon のサポートを直接受けられない
特に 1 つ目については、Amazon S3 との連携のメリットの 1 つである「長期間のログの保持」がなくなってしまいますので、定期的に SIEM やその他のストレージにログを転送するなど、導入にあたっては十分な検討が必要です。
以上のことから、このオプションは「SIEM とのログの連携をノーコストで試す手段」と割り切って考えていただければと思います。
なお、実際にログの連携を行う方法については、以下のサポート記事が参考になるものと思います。
Configuring Splunk for use with Cisco Umbrella Log Management in AWS S3
https://support.umbrella.com/hc/en-us/articles/230650987-Configuring-Splunk-for-use-with-Cisco-Umbrella-Log-Management-in-AWS-S3
Configuring QRadar for use with Cisco Umbrella Log Management in AWS S3
https://support.umbrella.com/hc/en-us/articles/231248488-Configuring-QRadar-for-use-with-Cisco-Umbrella-Log-Management-in-AWS-S3
また、連携をする上で、CSV のフォーマットの詳細を知りたい場合、以下の公開文書に記載があります。
Log Formats and Versioning
https://docs.umbrella.com/umbrella-user-guide/docs/log-format-and-versioning