※ 2023 年 1 月 3 日現在の情報をもとに作成しています
1. はじめに
Roaming Client の現在のステータスを知りたい場合、「タスクトレイの小画面」と「Umbrella Dashboard」の 2 箇所で確認をすることができます。本記事では、その 2 種類のステータス表示の特長と、ステータスの種類について紹介します。
2. 2 つのステータス表示について
Roaming Client をインストールすると、画面右下のタスクトレイに「水色の球体のアイコン」が表示されます。


もし、Roaming Client に何らかの異常が発生していると、このアイコンの右下に赤や青の丸印が付き、アイコンにカーソルを合わせることで Roaming Client の現在のステータスを表示できます。また、このアイコンをクリックして小画面 (下図) を開くことで、ステータスの詳細な内容を確認できます。
このステータス情報は一定間隔でクラウド上の同期用 Umbrella API (sync.hydra.opendns.com) と同期され、その情報をもとに Umbrella Dashboard の Deployments -> Roaming Computers の Status 欄が更新されます。
ただし、この同期は Umbrella 側がシステムの負荷状況などに応じて間隔を決定し、現在は 30 分前後の間隔で行われます。そのため、基本的に Umbrella Dashboard では Roaming Client のステータスをリアルタイムに確認できません。
また、Umbrella API との間に何かしらのネットワークの問題があり、疎通できない場合、現在のステータスは同期されません。そのため、Roaming Client の現在のステータスを正確に知りたい場合は、タスクトレイの小画面で確認してください。
3. サービス起動時のステータス
Roaming Client をインストールすると、以下の画像のようにサービスが登録されます。
Umbrella Roaming Client サービスは OS 起動時に自動で起動する設定がなされており、サービスが起動すると、最初に Umbrella API (api.opendns.com) へのデバイスの登録 (Device Registration) 処理が行われます。
このデバイス登録処理は、サービス起動時にのみ行われるもので、Umbrella Dashboard 未登録の場合はエントリーを登録し、登録済みの場合においても、現在の登録状況を確認するための処理が行われます。
この時の Umbrella API との登録通信には TCP 443 による SSL/TLS 通信が行われるため、PC に有効なネットワークアダプタがない、有効な DNS 設定がない (つまり api.opendns.com の名前解決ができない)、ファイアウォールによって通信がブロックされるなどの問題がある場合、以下のようなステータスとなり、Umbrella を利用できません。この時のステータスは以下のようになります。
(小画面)

なお、Roaming Client のログ ファイル (C:¥ProgramData\OpenDNS\ERC\OpenDNS_ERC_Service.log) には以下のようなメッセージが記録されます。
Device Registration: Sending GET to https://api.opendns.com/v3/organizations/XXXXXX/roamingdevices/lookup? (以下略)
Transport: Exception while doing GET: System.Net.WebException: リモート サーバーに接続できません。(以下略)
特にファイアウォールが原因と考えられる場合は、Roaming Client の前提条件を満たしているか改めて確認してください。
前提条件
https://docs.umbrella.com/deployment-umbrella/docs/2-prerequisites-update
デバイス登録処理に失敗すると、Umbrella の DNS サーバー (208.67.222.222/208.67.220.220) による DNS の名前解決は行われませんが、ネットワークアダプタに設定された DNS による名前解決が行われるため、基本的にインターネット アクセスができなくなることはありません。
ただし、ネットワークアダプタのすべての DNS 設定が有効ではない場合においては、一切の名前解決が行えないため、インターネット アクセスができなくなります。
デバイス登録処理が完了すると、次に前述した同期用 Umbrella API (sync.hydra.opendns.com) への同期処理が行われます。インストール後に行われた一番最初の同期に関しては、同期通信に失敗すると、同期が可能になるまで起動処理を中断します。この時のステータスは以下のとおりです。
(小画面)

なお、Roaming Client のログ ファイル (C:¥ProgramData\OpenDNS\ERC\OpenDNS_ERC_Service.log) には以下のようなメッセージが記録されます。
POST to https://sync.hydra.opendns.com/v3/ failed: リモート サーバーに接続できません。
この場合においても、前述の前提条件を満たしているか、改めて確認してください。
4. サービス起動後のステータス
サービスが有効になっており、DNS クエリーも暗号化されている場合、以下のステータスになります。
(小画面)

(Umbrella Dashboard)

DNS クエリーが暗号化されていない場合、以下のステータスになります。
(小画面)

(Umbrella Dashboard)

このステータスの場合、Umbrella の DNS サーバーへの UDP 443 の通信が可能なこと、および経路途中にあるファイアウォールなどで暗号化された DNS パケットが遮断されていないことを確認してください。
Protected Network 機能に準拠したネットワーク構成になっている場合、以下のステータスになります。
(小画面)

(Umbrella Dashboard)

クライアント PC の DNS クエリーが Virtual Appliance に送られるように設定されている場合、以下のステータスになります。
(小画面)

(Umbrella Dashboard)

DNS クエリーを Umbrella の DNS サーバーに送ることができない場合、以下のステータスになります。
(小画面)

(Umbrella Dashboard)

このステータスの場合、Umbrella の DNS サーバーへの UDP 443 および UDP 53 の通信が可能なことを確認してください。
サービス起動後に、何らかの理由でネットワークアダプタに設定されたすべての DNS と通信ができなくなった場合、または有効なネットワークアダプタがない場合、以下のステータスになります。
(小画面)

Roaming Client は、少なくともネットワークアダプタの 1 つ以上の DNS が使える状態で動作する実装のため、この状態になった場合、Umbrella も利用されなくなります。
このステータスは、ネットワークやネットワークアダプタに問題がある場合に発生するものですが、Umbrella サービス自体には問題がないため、Not Required という表現になっています。お使いの環境に問題がないか確認してください。
5. Umbrella Dashboard のみにあるステータス
Roaming Client から Umbrella API へ同期情報が送られてこず、その後、数回リトライが失敗した場合、Umbrella Dashboard のステータスは Offine になります。
(Umbrella Dashboard)

ステータスが Offline になる原因としては、PC がシャットダウンされている、Roaming Client サービスが起動していない、Umbrella API との疎通に問題があるなど多岐にわたります。
なお、PC も Roaming Client も起動しており、ネットワークにも問題がないにもかかわらず、Umbrella Dashboard が Offline のままの場合は、まだ次回の同期まで時間が経っていないことが考えられます。その場合は、小画面の Last Connected や Umbrella Dashboard 側の Last Synced で経過時間を確認してください。
また、Roaming Client の一部のバージョンにおいては、Umbrella Dashboard 側だけにある特殊なステータスとして「Uninstalled」があります。これは、Roaming Client がアンインストールされた後も、Umbrella Dashboard 上にエントリーが残されている場合、このようなステータスとなります。
(Umbrella Dashboard)
