2021-09-24
10:52 PM
- 最終編集日:
2025-01-23
10:50 AM
、編集者:
sushiyam
本ドキュメントでは ACI ファブリックに実装されている Access / Tenant / Fabric SPAN 設定の基本的な設定方法と動作概要を説明します。
ACI ファブリックではパケットキャプチャによるトラブルシューティングを目的とした Access / Tenant / Fabric / Virtual SPAN が実装されています。
(本ドキュメントでは Virtual SPAN については触れません。)
それぞれの SPAN 機能の概要は以下の通りです。
SPAN Type Source Destination Filter 対象
Access SPAN |
Access ポート |
Local ポート / ERSPAN |
Tenant / Application Profile / EPG |
ACI 管理者 |
Tenant SPAN |
Endpoint Group (EPG) |
ERSPAN |
Tenant 管理者 |
|
Fabric SPAN |
Fabric ポート |
ERSPAN |
Bridge Domain / VRF |
ACI 管理者 |
Access SPAN では SPAN Source に指定した Access ポートのパケットがコピーされます。Tenant / Application Profile / EPG に限定するフィルタを設定することも可能ですが、ここでは Leaf101 の E1/9 にて送受信されるすべてのパケットを SPAN 対象としています。また、ERSPAN ではなく Local SPAN により Leaf 101 の E1/10よりコピーされたパケットを送信するように設定しています。
<キャプチャ結果> 2017-07-14 07:04:30.903158 172.16.1.1 -> 172.16.1.2 ICMP Echo (ping) request 2017-07-14 07:04:30.903453 172.16.1.2 -> 172.16.1.1 ICMP Echo (ping) reply 2017-07-14 07:04:39.483619 10.2.2.1 -> 10.3.3.1 ICMP Echo (ping) request 2017-07-14 07:04:39.483984 10.3.3.1 -> 10.2.2.1 ICMP Echo (ping) reply
Tenant SPAN では ACIファブリックの物理的な接続を指定することなく、特定 Tenant の EPG に限定して通信をコピーすることが可能です。
ここでは EPG-1 を Source として指定していますが、物理的なポイントを指定することなく、 Leaf 101 / Leaf 102 を経由する EPG-1 の通信がキャプチャできています。
<キャプチャ結果> No. Time Source Destination Protocol Length Info 9 2017-07-14 19:52:44.129178 172.16.1.1 10.2.2.1 ICMP 144 Echo (ping) request 11 2017-07-14 19:52:44.129730 10.2.2.1 172.16.1.1 ICMP 144 Echo (ping) reply 13 2017-07-14 19:52:44.130522 172.16.1.2 10.3.3.1 ICMP 144 Echo (ping) request 15 2017-07-14 19:52:44.131371 10.3.3.1 172.16.1.2 ICMP 144 Echo (ping) reply
[注意事項]
Wireshark のデフォルト設定では ERSPAN version 1 の中身のデータが Summary Line に表示されません。
ERSPAN パケットの Summary Line 表示を上記の表示にするためには Wireshak のデコード設定の変更が必要となります。
詳細についてはドキュメントをご参照ください。
Destination IP: 192.168.1.1[注意事項]
Tenant SPAN 使用時の SPAN Version 2 は現時点で Nexus 9300-EX シリーズ以降にてサポートされています。
SPAN 対象の EPG が、 Nexus 9300 シリーズと Nexus9300-EX シリーズ以降とを混在して収容されている場合、SPAN 結果も Version 1 と Version 2 が混在することになります。ACI ファブリック内に SPAN Version 2 に対応していない Leaf が存在する場合、特に理由がない限りは Version 1 で問題ありません。
Fabric SPAN では ACI ファブリックが内通信が確認できます。ACI ファブリック内では通信がマルチパスとなるため、特定の通信を捕捉するためには予め対象フローの通信経路を特定しておくか、あるフローが経由する可能性のあるすべての接続を指定する必要があります。
ここでは Leaf 101 から Leaf 102 へのファブリック通信を SPAN しています。一般的にファブリック内通信は非常に大きな通信量となっているため、 VRF や Bridge Domain によるフィルタを設定したほうがよいです。
[注意事項]
ACI ファブリック内の通信は iVXLAN ヘッダによりカプセル化されているため、 Fabric SPAN によりコピーされたデータを表示する場合、Wireshark のデフォルト設定では Summary Line 表示に iVXLAN パケットがそのまま出力されてしまいます。
実際のデータを表示するためには Wireshark のデコード設定の変更が必要となります。
詳細については以下のドキュメントをご参照ください。
SPAN Data の デコード方法 (Wireshark)
※なお、上記ドキュメントの ERSPAN version 1 を表示する設定変更をしている場合、version 2 のデータはデコードされません。 version 1 のデコード設定を入れている場合はこの設定を解除する必要があります。
<キャプチャ結果> [変換前 (iVXLAN Data)] No. Time Source Destination Protocol Length Info 293 2017-07-14 17:36:29.473867 10.0.96.95 10.0.24.65 UDP 202 10736 → 48879 295 2017-07-14 17:36:29.473928 10.0.152.65 10.0.96.95 UDP 202 3040 → 48879 802 2017-07-14 17:36:39.513720 10.0.96.95 10.0.24.65 UDP 202 53616 → 48879 804 2017-07-14 17:36:39.553722 10.0.152.65 10.0.96.95 UDP 202 62304 → 48879 [変換後] No. Time Source Destination Protocol Length Info 293 2017-07-14 17:36:29.473867 172.16.1.1 172.16.1.2 ICMP 202 Echo (ping) request 295 2017-07-14 17:36:29.473928 172.16.1.2 172.16.1.1 ICMP 202 Echo (ping) reply 802 2017-07-14 17:36:39.513720 10.2.2.1 10.3.3.1 ICMP 202 Echo (ping) request 804 2017-07-14 17:36:39.553722 10.3.3.1 10.2.2.1 ICMP 202 Echo (ping) reply
Destination IP: 192.168.1.1[注意事項]
Fabric SPAN では Version 2 (default) のみサポートされています。
ACI ファブリックに実装されている SPAN 機能は APIC GUI から一元的に設定可能で、かつ簡単に高度なパケットキャプチャを実現することが可能です。
全ての SPAN 機能が ERSPAN に対応していることから、特定の解析用ホストを ACI ファブリックに常設しておくことで、トラブル発生時などに迅速に通信状況を捕捉、解析するようなことも可能となります。
万が一のトラブル発生時にこれらの SPAN 機能を使い分け、最小限で最適なデータを迅速に取得するためには、トラブル発生前の機能評価試験 / アーキテクチャの確認 / 制限事項の確認 が重要です。
ACI ファブリックを商用環境等にてローンチする前の評価段階で、機能試験や設定手順の確立といった準備をしておくことが推奨されます。
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