2021-10-15
02:35 PM
- 最終編集日:
2021-10-28
03:02 PM
、編集者:
Masato Kamijo
※APIC と vCenter との連携の基本 および VMware標準の分散仮想スイッチを使った連携については、EPGの設定 (VMware連携) のページを参照してください。 本ページでは、Application Virtual Switch (AVS) を使用した場合における連携に関して記載しています。
Application Virtual Switch とは
Application Virtual Switch (以下、AVS) は、ACI環境に最適化された仮想スイッチです。2009年から提供されている実績あるNexus 1000Vをベースとしていますが、Nexus 1000Vにおいて管理ポイントとして使用されている Virtual Supervisor Module (VSM) の役割はAPICコントローラが担います。よって、ACIファブリックに接続されたESXiホストに Virtual Ethernet Module (VEM) として動作するために必要となるモジュールを組み込むだけで使用することができます。AVSはACIと組み合わせて使用することが前提となりますので、StandaloneモードのNexus 9000を使用している場合は、Nexus 1000Vを使用してください。
また、AVSはOpFlexプロトコルを使ってACIファブリックと連携動作することができる点が特徴です。VMware標準の分散仮想スイッチを使用する場合にはACIファブリックのLeafスイッチとの間でCDPによる相互認識が必要となりますが、AVSの場合はOpFlexプロトコルを使用してLeafスイッチと相互認識を行います。そのため、AVSを導入したESXiホストでは、ACIファブリックを拡張したvLeafスイッチが動作していると見なして構成・管理を行うことが可能です。OpFlexはIETFに標準化提案中のオープンなプロトコルです。OpFlexについて詳細はIETFのページを参照してください。
draft-smith-opflex-00 - OpFlex Control Protocol
ACIファブリックとAPIC、vCenterサーバ、そしてAVSがインストールされたESXiホストの関係を図示すると以下の様になります。
APICはvCenterと連携して仮想マシンに関する情報を取得します。同時に、ACIファブリックのLeafスイッチは、AVSがインストールされたESXiホストをvLeafとして認識し、それらのESXiホストにおけるAVSに接続された仮想マシンの情報をOpFlexプロトコルを使用して取得します。AVSは拡張された分散仮想スイッチとして動作するため、ESXiホストとの紐付けなどについてはvCenterサーバを通じて連携します。
AVSを使用するために必要となるコンポーネント
AVSとAPICの組み合わせには、一定のサポートバージョン範囲があります。詳しくはAVSのリリースノートを参照してください。ESXiホストは5.1以降である必要があります。現在ESXi 5.0はサポートされていません。
本ページの情報は、以下の組み合わせを前提として記載されています。
AVS に対応した ESXiホスト
AVSはNexus 1000Vと同様にESXiホストにおける分散仮想スイッチのサードパーティ拡張機能を使用します。そのためESXiホストはEnterprise+ライセンスが適用されている必要があります。
AVSを動作させるESXiホストの接続構成
ESXiホストの接続構成としては、以下のパターンが考えられます。基本的な接続デザインは(1)~(3)となりますが、(4)~(7)の構成についても考慮点等はありますがサポートされています(いわゆるRemote vReaf構成)。
パターン 構成
(1) | AVSを導入したESXiホストがLeafスイッチに直接接続する |
(2) | AVSを導入したESXiホストがLeafスイッチ配下のFEX(Nexus 2000) |
(3) | AVSを導入したESXiホストがLeafスイッチに接続したFabric Interconnectに接続する ※UCS BシリーズもしくはUCSM管理構成のUCS Cシリーズの場合 |
(4) | AVSとLeafスイッチの間に単一(1階層)の物理スイッチが挟まる構成 |
(5) | AVSとLeafスイッチの間に単一の物理スイッチが挟まり、かつそのスイッチ配下のFEXにAVSを導入したESXiホストが接続する |
(6) | AVSとLeafスイッチの間に複数の物理スイッチが挟まる構成 |
(7) | AVSとLeafスイッチの間に物理スイッチとそれに接続したFIが接続する構成 |
まずは基本デザイン構成となる以下の(1)~(3)のパターンについて説明します。
AVS の動作モード
現在、AVSは以下の2つの動作モードで動作することができます。どちらのモードであってもバイナリは同一です。モードの選択はAPICにおいてVMM Domain構成時に指定します。通信効率の最適化のため、ローカルスイッチングモードの使用を推奨します。
ローカルスイッチングモード (FEX Disable)
ローカルスイッチングモードは、同一ESXiホスト上で実行されている仮想マシン同士が同じEPGに紐付けられている場合にはESXiホスト内ローカルでスイッチング処理を行います。異なるEPG間の通信については、かならず上位のLeafスイッチを経由して通信を行います。
Leafスイッチとの間の通信形式としては、VLANもしくはVXLANを使用することができます。通信形式としてVLANを選択した場合は、AVS/vLeaf と Leafスイッチ間での通信に必要となるVLANレンジを確保する必要があります。VXLANを選択した場合は、インフラVLANとして使用するVLANだけを使用します。構成がシンプルになるため、VXLANを使用することが推奨されます。
NO ローカルスイッチングモード (FEX Enable Mode)
NO ローカルスイッチングモードは、同一EPG内を含むvLeaf/AVSを経由するすべての通信を、一旦Leafスイッチを経由させます。
この方式を選択した場合、Encapsulation方式はVXLANのみが使用可能です。
AVS構成におけるPort-Channel構成の組み合わせについて
AVS, Leafスイッチ, FI, Nexus 5000 / 7000 の各構成要素におけるPort-Channelのサポートモードは以下の通りです。
LACP MAC Pinning Off (Static) vPC
AVS | はい | はい | はい | 適用外 |
Leafスイッチ | はい | はい | はい | はい |
UCS Fabric Interconnect (FI) |
はい(上位スイッチ接続ポート) いいえ(サーバポート) |
はい | いいえ | いいえ |
Nexus 5000 / 7000 | はい | はい | はい | はい |
AVS導入におけるベストプラクティス
AVS を使用するためのACI側での構成
AVSを使用するためには、APICで以下の構成を行う必要があります。
本ページでは、AVS構成のために必要となる部分のみ記載しています。適宜別途必要となる設定については定義してください(Switch Policy, Interface Policy, Access Entity Profilesなど)。
DHCP Relayの作成
AVS/vLeafとなるESXiホストでは、VTEPの役割を担うVMkernelインターフェイスが構成されます。このVMkernelインターフェイスに対してNexus 9kスイッチ同様にAPICによるDHCPを用いたIPアドレス割当を行うために、DHCP Relayの設定が必要となります。
DHCP Providerを構成する
※参考:APICのACIファブリック側IPアドレスの確認方法
[SYSTEM] - [CONTROLERS]画面の[Controllers] - [apic1 (Node-1)] - [Cluster]
LACP Policyの作成
infraテナントの管理通信のために使用されているBridge Domain [default]にDHCP Relayを紐付けます。
AVSのためのInterface Policyの構成
必須となるInterface PolicyはLACPポリシーのみです。その他は必要に応じて構成してください。AVSはOpFlexを使用してLeafスイッチと連携するため、CDPもしくはLLDPによる隣接認識は必要ではありません。
LACPポリシーを含め、AVSを使って接続するESXiホストのためのInterface Policy Groupを構成してください。
※すべての同一ドメイン内のESXiホストに対しては、同じノードポリシーが適用される必要があります。
AVSでは独立したInterface Policyの構成はサポートされていません。よって、ESXiホストの接続構成に応じて、以下のいずれかの構成とする必要があります。
ESXiホストとLeafスイッチ間の接続構成 LACPポリシー
単一のLeafスイッチに対して1本のみ接続している場合 | PC (Port Channel) ポリシー |
単一のLeafスイッチに対して複数本接続している場合 | PC (Port Channel) ポリシー |
複数のLeafスイッチに対して接続している場合 | VPC (Virtual Port Channel) ポリシー |
Multicast Addressプールの構成
vLeafとの間の通信に使用するVXLANのためのMulticast Addressプールを構成します。このマルチキャストアドレスは、Encapsulation方式としてVXLANを使用している場合に使用します。
※ローカルスイッチングモードでVLANを使用する場合は、Multicast Addressプールではなく、VLANプールの構成が必要となります。VLAN使用の場合は、Multicast Addressプールの構成は必要ありません。
Access Entity Profile (AEP) の構成
AVSを使用するためには、紐づけられているAEPにおいて、[Enable Infrastructure VLAN]が有効(チェックがついている)となっている必要があります。
vCenter Domain の構成
VMM Domainの構成において、VMware標準の分散仮想スイッチを使用する場合との違いは、仮想スイッチのタイプとしてCisco AVSを選んだ上で、適切な動作モードを選択する部分のみとなります。下記で記載している以外の、vCenter Credentials, vCenterなどの情報については、適宜構成を行ってください。
※Multicast AddressはVTEPとの通信に使用します。Multicast Address Poolのマルチキャストは、ACIファブリックおよびvLeafで構成される内部およびvLeafまで延長されたVXLAN通信に使用します。
vCenterサーバ側の状態
vCenterサーバ側では、APIC側でのVMMドメインの構成によって、自動的に分散仮想スイッチが構成されます。AVSを構成した場合は、スイッチングモードでVLANを使用する場合を除き、以下の通りアップリンクポートグループとVTEP用のポートグループが自動的に準備されます。
※AVSに対するESXiホストの接続は、ESXiホスト側にAVSをインストールした後に実施します。
AVS VEM のインストール
AVSはCiscoのウェブサイトよりzipファイル形式でダウンロードすることができます。ZIPファイルを解凍すると、以下のファイルが含まれています。
vibファイル(vSphereInstallation Bundle) と zipファイルの両形式で提供されており、どちらを使用してもAVSのインストールを行うことが可能です。主に、vibファイルは、CLIによるインストール、zipファイルはVMware Update Managerを使ったインストールでの使用を想定しています。
以下では、vibファイルを用いたインストール手順をご説明します。
~ # vim-cmd hostsvc/maintenance_mode_enter 'vim.Task:haTask-ha-host-vim.HostSystem.enterMaintenanceMode-447364553'
~ # esxcli software vib list | grep Cisco
net-enic 2.1.2.42-1OEM.550.0.0.1198611 Cisco VMwareCertified 2015-02-11
~ # esxcli software vib install -v /vmfs/volumes/datastore1/Patch/cross_cisco-vem-v172-5.2.1.3.1.3.0-3.2.1.vib
Installation Result Message: Operation finished successfully. Reboot Required: false VIBs Installed: Cisco_bootbank_cisco-vem-v172-esx_5.2.1.3.1.3.0-3.2.1 VIBs Removed: VIBs Skipped:
~ # esxcli software vib list | grep Cisco
cisco-vem-v172-esx 5.2.1.3.1.3.0-3.2.1 Cisco PartnerSupported 2015-03-03 net-enic 2.1.2.42-1OEM.550.0.0.1198611 Cisco VMwareCertified 2015-02-11
~ # vemccmd show version VEM Version: 5.2.1.3.1.3.0-3.2.1 System Version: VMware ESXi 5.5.0 Releasebuild-1746018
検索バーにキーワード、フレーズ、または質問を入力し、お探しのものを見つけましょう
シスコ コミュニティをいち早く使いこなしていただけるよう役立つリンクをまとめました。みなさんのジャーニーがより良いものとなるようお手伝いします
下記より関連するコンテンツにアクセスできます