はじめに
本ドキュメントでは、ESXi 7.0U2 以降のバージョンで稼働している UCS サーバで TPM を交換する際に、ESXi のリカバリーキーをバックアップする必要がある理由とリカバリーの手順について説明します。
現象
ESXi 7.0U2 以降では、TPM 交換後に下記のエラーが発生し、ESXi が起動しなくなることがあります。 これは、ESXi 7.0U2 以降における動作の変更点です。
エラーメッセージ:
Unable to restore system configuration. A security violation was detected.
対策
ESXi リカバリーキーを使用してリカバリーします。
■ ESXi リカバリーキーの確認方法
ESXi Shell で、下記のコマンドでリカバリーキーを確認します。
[root@localhost:~] esxcli system settings encryption recovery list
上記の「Key」の下部にリカバリーキーが表示されます。 本例であれば、リカバリキーは以下の通りです。 665698-311246-511491-287004-713024-257482-381871-248420-257892-507835-542244-396605-192996-386729-611152-500548
■ ESXi をリカバリーする方法
1. ESXi ホストを起動します。
2. Loading VMware ESXi の画面が表示されたら、Shift+O を押してブートオプションを編集します。
3. コマンドプロンプトで、既存のブートオプションの後ろに以下の内容を追加します。
encryptionRecoveryKey=<リカバリーキー>
[注意] プロンプトに既に表示されている情報を削除しないでください。 既に表示されている内容の直後に [encryptionRecoveryKey=リカバリーキー] を入力してください。
4. 正しいキーを入力後に ESXi が起動できます。
5. 変更を保存するために、ESXi Shell に次のコマンドを入力します:
# /sbin/auto-backup.sh
6. ESXi を再起動して、設定が適用されて無事に起動できることを確認します。
その他
UCS サーバでは TPM の取り換えが難しいため、マザーボードを交換する際には TPM も一緒に交換することになります。ESXi のリカバリーキーがなければ、他の復旧手段がないため、ESXi を再インストールする必要があります。 サーバが予期せずシャットダウンして起動できなくなる場合があるため、障害が発生した時のみならず、通常の運用中でもESXi リカバリーキーをバックアップするようにしてください。
参考資料
Boot time failures due to ESXi configuration encryption (81446)