5GHz 帯を使う 802.11a/n/ac では、無線 LAN アクセスポイントは同じ周波数を利用する航空気象(軍事)レーダの電波を高確率で検知すること、および検知した場合は所定の動作により速やかに当該周波数(チャネル)を停波すること等が義務づけられています。
これは DFS と呼ばれる機能として AP に実装されています。
2014 年 4月 25日時点では、日本国内では次の周波数 [MHz] (チャネル) が DFS の対象となっています。
5260( 52), 5280( 56), 5300( 60), 5320( 64), 5500(100), 5520(104), 5540(108), 5560(112) 5580(116), 5600(120), 5620(124), 5640(128), 5660(132), 5680(136), 5700(140)
AP がレーダを検知した場合、そのチャネルは次に利用されるまで最低 30 分間は停波し、使用できないように動作します。AP は停波した後は利用可能な別のチャネルをランダムに選び、速やかに無線 LAN サービスを再開させますが、このときクライアントは瞬間的に AP との接続を失い、サービス断となります。
空港がある県など、地理的な場所によっては頻繁に色々なチャネルで DFS が働く場合があり、そうなるとサービスの瞬断も多くなり、VoWLAN などの遅延、パケットロスに敏感な上位アプリケーションに影響を与えかねません。
実際にどれだけの頻度でどのチャネルで DFS が発生しやすいのかは、現地で設置した後に確認するしかありませんが、WLC を使うとその傾向を確認することができます。
WLC の GUI にて、
MONITOR > Access Points > Radios > 802.11a/n/ac > 対象の AP の行の右端の青白の三角形 > Detail
と画面を進めていき、下の方にスクロールすると、"Radar Information" "Channel vs Minutes ago" という棒グラフが表示されます。
このグラフが過去の DFS 動作の履歴を示しており、対象チャネルで何分前にレーダを検知し、DFS 動作を取ったかがわかります。
最初は 1 minutes ago のあたりから始まり、徐々に 30 minutes まで延びて行くことになります。グラフがまだ 30 minutes に達していないチャネルは、現在利用不可能ということになります。
このグラフはそのチャネルが再利用されるまではその場に残りますので、30 minutes いっぱいまで延びきったチャネルは、後で別の DFS が発生した際の利用候補になります。
RRM の DCA 設定にてチャネルを動的に決定するようにしている場合は、DCA にチャネル決めを任せておき、しばらく経ってからこのグラフを見てみると、AP 毎の DFS の傾向を知ることができ、セルデザインの情報として考慮することができます。