はじめに
iOS13 以降、Jabber for iPhone ではバックグラウンドモードでの着信に
APNsの利用が必須となりました。
WLAN 接続(LTE SIM無し)の Jabber for iPhone が APNs からの
Push 通知を受信するためには、iPhone から APNs への接続状態を
維持する必要があります。
このドキュメントでは、iPhone が NAT を経由して APNs へ
接続される場合の NAT タイマーの設定値について説明します。
1.APNs から iPhone への Push 通知
リアルタイムに Push 通知を受信するために、iPhone は
APNs に TCP で接続し、その接続状態を維持します。
LTE で携帯電話キャリアに接続された iPhone の場合、WLAN環境においても
APNsとの接続には LTE 網が優先して使用されます。

LTE 接続ができない WLAN 環境の iPhone は、構成に依存しますが
NAT(ネットワークアドレス変換) 装置等を介して APNs に接続されます。

IP Addressを効率的に利用するため、NATには Dynamic NAT 等が使用されますが
変換テーブルの有効期間は通信の特性に合わせて設定します。
Apple社エンジニアからの情報では、APNs と iPhone 間では10分から15分間隔で
何らかの情報のやり取りが行われているようです。
iPhone から APNs へのTCP接続が切れないように維持するには、NAT タイマーを
30分以上に設定するのが安全と考えられます。
Cisco IOS ルータでの NAT タイマーの設定例(30分の場合) ip nat translation tcp-timeout 1800 |
2.Unified CMから APNs へのPush 通知
Unified CM/IM&P サーバ と APNs(Cisco Collaboration Cloud)間にも、NAT 装置
が使用される場合があります。
NAT タイマーは、30分以上に設定することが推奨されます。


まとめ
Jabber for iPhone ではバックグラウンドモードでの着信に
APNsの利用が必要です。APNs との接続に NAT 装置が使用される場合
NAT タイマー値を適切に設定してください。
参考ドキュメント:
Apple 製のデバイスで Apple プッシュ通知が届かない場合
Apple ソフトウェア製品で使われている TCP および UDP ポート
Apple Push Notification について
Jabber for iPhone の Push Notification 動作ついて
Jabber for iPhone の着信動作について (iOS13以降の新方式)
SRC:Jabber for iPhone (APNs) で Firewall/NAT を超えるときの注意点
Push Notifications Deployment Guide: Chapter: Push Notifications (On-Premises Deployments):
Push Notifications Interactions and Restrictions