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Expressway の Rich Media Session の Option Key について

Shuhei Mentani
Cisco Employee
Cisco Employee

‎2019-04-26 03:15 PM - 最終編集日: ‎2022-09-13 12:42 PM 、編集者: Cisco Employee

 

1. はじめに

本ドキュメントでは、Expressway の Call License である Rich Media Session (RMS) の Option Key について説明します。

詳細は、以下に記載しますが、Business to Business のコールのような社外 (他ドメイン) のデバイスなどとのコールの際に必要な License です。

ここでは、X8.8, X8.11.4, X12.5.1 で動作を確認しております。

2. RMS の概要

RMS は Expressway-C、あるいは、Expressway-E に適用し、特定の条件に合致するコールが接続されたタイミングで消費し、切断されると解放されます。

  • RMS を消費しないコール
    • 同一 Expressway にレジストしているデバイス同士のコール
    • 同一 Cluster 内の Expressway にレジストしているデバイス同士のコール
    • 同一 Domain の Neighbor Zone(SIP/H.323 Trunk)、あるいは、Traversal Zone(Expressway-C <-> E) 経由のコール
      (*)Expressway, VCS, CUCM 上で Registration のライセンスを消費しているデバイス間のコールでは消費しない
    • Cisco conferencing resources (WebEx CMR, TP Servers/Conductor, CMS) へのコール
  • RMS を消費するコール
    • Business to Business コール
    • Business to Customer (Jabber Guest) コール
    • Microsoft Skype for Business などのようなインターワークの必要な 3rd Party 製品とのコール
  • Expressway はコールを処理する際に、コールを以下の 4 つ lic_type に分類します。
lic_type (Diagnostics ログに記録される)

　　　　　RMS の消費有無

lic_type="nontraversal"

RMS 消費しない (“Registered” Call)

メディアは Expressway を通過しない

lic_type="collabedge"

RMS 消費しない (“Non-RMS” Call)

メディアは Expressway を通過する

lic_type="traversal"

RMS 消費する

メディアは Expressway を通過する

lic_type="cloud”

RMS 消費しない (“Cloud” Call)

メディアは Expressway を通過する

 

  • コールが処理されるタイミングで、Diagnostics ログには以下のようなログが記録されます。
    • nontraversal、collabedge と判断され、RMS を消費しないコールの例
      RMS は不要ですが、License に問題は無いという意味で Detail="License granted" と記録されます。

      2019-03-28T10:59:52.698+09:00 ho-xpc-serv-001 licensemanager: Level="INFO" Detail="License granted" call_id="c19ad26c-99d0-4a13-a759-f08b9e228bd4" lic_type="nontraversal tokens=2" UTCTime="2019-03-28 01:59:52,697"

      2019-03-28T11:00:04.293+09:00 ho-xpc-serv-001 licensemanager: Level="INFO" Detail="License granted" call_id="3d31bd3b-7c19-49a1-a6f5-953a3633ad1f" lic_type="collabedge tokens=2" UTCTime="2019-03-28 02:00:04,299"       

    • traversal と判断され、RMS を消費するコールの例
      上記とは、ログを取得した Expressway のバージョンが異なるため、フォーマットが異なりますが、License に問題無いという意味で       Detail="License granted" と記録されます。

      2019-04-15T16:23:52.578+09:00 xc-vcs-test3 licensemanager: UTCTime="2019-04-15 07:23:52,577" Module="developer.licensemanager.service.manager" Level="INFO" CodeLocation="licensemanager(193)" Detail="License granted" call_id="dfe917c9-c2f5-4557-a32f-f8494e54768a" lic_type="traversal" tokens=2

(*) Expressway のバージョンによって、ログの出力のフォーマットが異なる場合があります。

(*) ログの tokens=2 というのは RMS が 2 消費されたという意味ではありません。1 コールで 1 消費します。

 

3. RMS を消費するコール・しないコールの詳細

以下では、RMS を消費するコールとしないコールの詳細を説明します。

Expressway-C にレジストしている SIP デバイス に関するコールパターンを例としていますが、H.323 でレジストするデバイス、Expressway-E にレジストするデバイスについても、基本的な考え方は同様のため、ここでは省略します。 

3.1 Expressway に SIP UA Registration したデバイスとのコール

  • lic_type="nontraversal"
  • RMS 消費しない

10.png

3.2 Internet から Expressway-E 経由で C に Proxy Registration したデバイスとのコール

  • C/E 共に lic_type="collabedge" 
  • RMS 消費しない

11.png

3.3 Expressway にレジストしていない SIP デバイスとのコール

  • lic_type="nontraversal"
  • RMS 消費しない

12.png

3.4 Expressway にレジストしていない H.323 デバイスとのコール

  • lic_type="traversal" (SIP と H.323(レジストしていないデバイス) 間のインターワークが必要)
  • RMS 消費する

13.png

3.5 Internet から Expressway-E 経由で接続する C にレジストしていない SIP デバイスとのコール

  • C: lic_type="collabedge" 
  • RMS 消費しない
  • E: lic_type="traversal" (E から見て Internet の先の SIP デバイスは異なる Domain であるため)
  • RMS 消費する

14.png

3.6 Internet から Expressway-E 経由で接続する C にレジストしていない H.323 デバイスとのコール

  • C: lic_type="collabedge" 
  • RMS 消費しない
  • E: lic_type="traversal" (E から見て Internet の先の SIP デバイスは異なる Domain、かつ、SIP-H.323 のインターワークが必要なため)
  • RMS 消費する

15.png

3.7 Webex などの Cisco Cloud Service とのコール

  • C/E 共に lic_type="cloud" 
  • RMS 消費しない

30.png

3.8 Neighbor Zone に設定した CMS とのコール

  • lic_type="nontraversal" 
  • RMS 消費しない

17.png

3.9 Neighbor Zone の VCS にレジストしているデバイスと Cisco Cloud Service のコール

  • Expressway-C/E, VCS 共に lic_type="cloud" 
  • RMS 消費しない (ただし、VCS が X8.6 未満の場合は Traversal Call License が必要)

18.png

3.10 Neighbor Zone に設定した Conductor と Cisco Cloud Service のコール

  • C/E 共に lic_type="cloud" 
  • RMS 消費しない

19.png

3.11 Neighbor Zone に設定した Conductor とのコール

  • lic_type="nontraversal" 
  • RMS 消費しない

20.png

3.12 Neighbor Zone の Expressway Lync GW 経由の MS Lync Client とのコール

  • Expressway-C: lic_type="collabedge" 
  • RMS 消費しない
  • Expressway Lync GW: lic_type="traversal" 
  • RMS 消費する

21.png

3.13 MRA Client とのコール

  • C/E 共に lic_type="collabedge" 
  • RMS 消費しない

22.png

3.14 クラスタ内の別 Expressway にレジストした SIP UA デバイスとのコール

  • 両 Expressway 共に lic_type="nontraversal" 
  • RMS 消費しない

23.png

3.15 Internet から Expressway-E 経由で接続する C にレジストしていない SIP デバイスとのコール
        (C で Inter Cluster コールとなる場合)

  • SIP UA のレジスト先 C: lic_type="nontraversal" 
  • RMS 消費しない
  • E と Traversal Zone で接続する C : lic_type="collabedge" 
  • RMS 消費しない
  • E: lic_type="traversal" (E から見て Internet の先の SIP デバイスは異なる Domain であるため)
  • RMS 消費する

24.png

 

4. RMS 不足によりコールが失敗した際のログ

Expressway-C、E で RMS License が必要と判断されたにもかかわらず、不足している場合は SIP の場合は 503 Service Unavailable でそのコールは拒否されます。

503_flow.png

 

RMS が不足した際に Diagnostics ログには以下のようなログが記録されます。

2019-04-23T18:43:25.653+09:00 expressway-e licensemanager: Level=“INFO” Detail=“License not granted” call_id=“8fee5d9d-b8ed-46ac-cd8a-a44e25f231e5” lic_type=“traversal” tokens=2 UTCTime=“2019-04-23 09:43:25,653”

2019-04-23T18:43:25.657+09:00 expressway-e tvcs: UTCTime="2019-04-23 09:43:25,656" Module="network.sip" Level="INFO": Action="Sent" Local-ip="192.168.91.60" Local-port="7002" Dst-ip="192.168.91.50" Dst-port="25802" Detail="Sending Response Code=503, Method=INVITE, CSeq=1, To=sip:123400@192.168.98.170, Call-ID=53bcd1040510a3432f8bba3b5e91db11@127.0.0.1, From-Tag=813993721, To-Tag=0159aced8f7d35a9, Msg-Hash=6145612569702067430, Local-SessionID=00000000000000000000000000000000, Remote-SessionID=aa9630aa9609d5c5d25277a19d82c0c1"
2019-04-23T18:43:25.657+09:00 expressway-e tvcs: UTCTime="2019-04-23 09:43:25,656" Module="network.sip" Level="DEBUG": Action="Sent" Local-ip="192.168.91.60" Local-port="7002" Dst-ip="192.168.91.50" Dst-port="25802" Msg-Hash="6145612569702067430"
SIPMSG:
|SIP/2.0 503 Service Unavailable
Via: SIP/2.0/TLS 192.168.91.50:5061;egress-zone=TraversalZonetoEXPE;branch=z9hG4bKc16b74158182445810a6d1e58c1ab0a5385895.0ec7295dcc04ceb14aaa03a99beefa29;proxy-call-id=e060735b-16ae-4039-a061-7bcc66aa565e;received=192.168.91.50;rport=25802;ingress-zone=TraversalZonetoEXPC
Via: SIP/2.0/TLS 192.168.98.174:7001;egress-zone=TraversalZonetoEXPC;branch=z9hG4bK1510ca7d0ed405713aabaabf2fa433504234.0a615569f2266cebeb871ca1fa45f70f;proxy-call-id=0b44911a-a003-448d-b4ee-2a6b32418f5a;received=192.168.98.174;rport=7001;ingress-zone=TraversalZonetoEXPE02
Via: SIP/2.0/TLS 127.0.0.1:30192;branch=z9hG4bK-393335-f7fb8bffb44e027713dde19c837e4b15;rport=38667
Call-ID: 53bcd1040510a3432f8bba3b5e91db11@127.0.0.1
CSeq: 1 INVITE

 

意図せず、lic_type="traversal" と判断され RMS License を消費したり、RMS 不足によりコールが失敗する場合には、まずは上記 traversal と判断される条件に一致したコールであるかどうかを確認し、必要に応じて Japan TAC へお問い合わせください。

その際には、該当のコールを含むように全 Expressway (VCS) から Diagnostics ログを取得して、コールの発生時間や発信者と着信者の情報などと共にご提供ください。

参考 URL : VCS / Expressway のログ取得方法 (X8.1.x 以降)

 

 

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コメント
Yusuke Yoshinaga
Cisco Employee
Cisco Employee
‎2022-09-13 12:40 PM

「Cisco conferencing resources (WebEx CMR, TP Servers/Conductor, CMS) へのコール」でZone 設定によってRMS を消費する場合があります。

参考記事) Expressway で同一 CMS を peer とする複数 Zone が存在すると RMS を消費する

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