はじめに
コミュニケーションの手段としては、電子メール、チャットツール、Web会議等が主流になっていますが、
日本国内では依然FAX装置が利用されています。
Cisco社のコラボレーションシステムでは、みなし音声方式、Relay方式、Passthrough方式等で
FAX/FoIP（FAX over IP)通信をサポートします。
FoIP通信の不具合調査を行う場合、システムの構成に応じてログの収集を行って頂く必要があります。
このドキュメントでは、FoIP通信の不具合調査に必要なログについて整理します。
１．CUCM関連のログ
CUCM関連のログ： CCM/SDLトレース（Detailed）
... システム構成にCUCMが含まれる場合
２．Voice GW関連のログ
(基本情報)
show tech (voice) または show version, show run, show controller T1, show diag
show controllerコマンドでは、T1回線でSLIP等のエラーの増加が無いかを確認します。
BRIの場合は、show interface コマンドで CRCエラーの増加が無いかを確認します。
(FAX通信中に確認する情報)
show voice call sum, show voice port sum, show call active voice brief, show voice dsp
これらのコマンドで、音声通信から期待どおりのFAX通信モードに切り替わっているかを確認します。
(FAX通信中に取得するdebug)
debug voip ccapi inout ... dial peer のマッチングが期待どおりであるかの確認。
debug voip rtp session nse ... RTPパケット（NSE）による切り替え動作を確認。
debug fax relay t30 all-level-1 ... FAX通信プロトコル（T.30）による通信状況を確認。
FXS/E&M/CAS... debug vpm all (onhook, ofhook状態の確認）
debug voip vtsp signal (DTMF送受信の確認)
BRI/PRI ... debug isdn q931 （ISDNインタフェースの通信プロトコルの確認）
VoIP側のdebug (H.323/SIP/MGCP/SCCPのプルトコルに合わせて取得)
VoIPプロトコル、他機種のdebugの詳細については、以下のURLを参照してください。
参考URL：Multi Service Voice Debug Lookup Tool
https://cway.cisco.com/tools/msdlt/
３．FAX機器の通信ログ
FAXの機種に依存しますが、FAX機器が通信エラーのレポートを生成できる場合
その情報を提供してください。（スキャンして、画像ファイルとして送付して下さい。）
FAXのエラーコード等が、障害調査に役立つ場合があります。
４．パケットキャプチャ、PCMキャプチャ
FoIPの障害調査では、FAX通信プロトコル(T.30)の解析が必要になる場合があります。
みなし音声、ModemPassthroughの方式では、FAX信号はアナログ音声波形として
伝送されるため、解析には専用のFAX通信アナライザーが必要になります。
Wiresharkによるパケットキャプチャ、PCMキャプチャを取得すれば、音声信号をWAV
ファイルとして抽出することができるため、FAX通信アナライザーでの解析が可能になります。
まとめ
FAX/FoIP通信で不具合が発生した場合、本ドキュメントを参考にログの収集を行い、
TACへ調査を依頼してください。
参考ドキュメント
FAX/FoIP通信のトラブルシューティング時に収集していただきたい情報について
