はじめに
このドキュメントでは、Nexus 9000 シリーズで vPC および In-Service Software Upgrade 時に hsrp timers extended-hold を利用する場合の注意事項を記載しています。
hsrp timers extended-hold とは
hsrp timers extended-hold は In-Service Software Upgrade(ISSU) 実行時に不必要な HSRP の状態変移を防ぐために利用します。
詳細は、各ソフトウェアリリース HSRP のコンフィグレーションガイドに記載があります。
例 : Nexus 9000 シリーズ 10.4(x) の場合
Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Unicast Routing Configuration Guide, Release 10.4(x)
hsrp timers extended-hold の動作とデメリット
hsrp timers extended-hold は ISSU 実行中、HSRP Active の HSRP サービスを停止し、Standby で設定された時間、HSRP の状態を維持する効果があります。hsrp timers extended-hold が動作している期間、スイッチを通過する通信に影響はありませんが、HSRP Active の HSRP サービスが停止していることから、以下のような事象が見受けられます。
- HSRP Virtual IP address(VIP) への ping などに応答しない
- HSRP Virtual IP address に対する ARP リクエストに反応しない
そのため、hsrp timers extend-hold が動作中に、HSRP VIP に対する疎通確認が必要であったり、接続機器で VIP の ARP 解決が必要な状況が発生したりした場合、通信断として見受けられることがあります。
デメリットへの対応例
ISSU 実行中における上述のデメリットへの対応が必要と考える場合、以下のような対応例が考えられます。
- ISSU アップグレード実行前に HSRP を設定した全ての group/interface で、vPC secondary 側 を Active とする
(この際、HSRP 状態切替に伴う通信断が発生する可能性があります)
- vPC primary (HSRP standby のみ) で ISSU を実行する
(hsrp timers extended-hold は HSRP active のみサービスが停止することから、vPC secondary(HSRP active のみ) で影響はありません)
- vPC primary ISSU 実行後、HSRP を設定した全ての group/interface で、vPC primary 側を HSRP Active とする
(この際、HSRP 状態切替に伴う通信断が発生する可能性があります)
- vPC Secondary(HSRP standby のみ) で ISSU を実行する
(hsrp timers extended-hold は HSRP active のみサービスが停止することから、vPC primary(HSRP active のみ) で影響はありません)
参考情報
Cisco Nexus 9000 Series NX-OS Unicast Routing Configuration Guide, Release 10.4(x)
