スマホを用いた WLAN 環境の調査

[Hiroshi Ishiyama]

 

はじめに

Wireless IP Phone (CP-8821) の通話品質を確保するには、
WLAN 環境 を 整備することが重要です。
WLAN 機器（AP/WLC）は、Wireless IP Phone Deployment Guide
に準拠して導入し、Voice over WLAN用に最適化する必要があります。

Jabber for iPhone/Android を WLAN 環境で使用する場合においても、
音声品質を確保をするには、同様にWLAN環境を整備する必要があります。

WLAN 環境の詳細な調査（サイトサーベイ）には、スペアナや専用ツールを
を使用しますが、スマホのアプリでも簡易な調査は可能です。

iPhoneの場合、iOSの制限が多いためWLANの調査を行うための有用な
アプリは殆どありませんが、Androidの場合、数多くの WiFi 調査アプリが
GooglePlayからダウンロードできます。
但し、アプリによっては新しいAndroidバージョン(11、12)で動作しなかったり、
新しい規格の WiFi チャンネル（帯域幅 80MHz、160MHz等）を正しく
表示できなかったりします。適切なアプリを利用しないと、WiFi環境の
トラブルシューティング（電波干渉の調査等）が適切に行えません。

このドキュメントでは、最新のAndroidで動作し、 80MHz、160MHzの
帯域幅のチャンネルを正しく表示できるアプリを幾つか紹介します。

備考：このドキュメントにおいて、アプリのサンプル画面は、WiFi 6に
　　　対応した、Google Pixel 6 Pro (Android 12) を用いて取得しています。

１．WiFi Analyzer (open-source)

WiFi Analyzerは、open-sourceのアプリで広告の表示はありません。
80MHzおよび160MHzのチャンネルを正しく表示できており、
チャンネル毎の信号強度の変化も表示できます。

（WiFi チャンネルをグラフ化して表示）

（AP のリストと信号強度の時間的な変化を表示）

 

２．NetSpot：WiFiアナライザー＆サイト調査ツール

NetSpotは、PC（MAC、Windows）用の Wi-Fi サイトサーベイ アプリの
Androidd版です。表示できる情報は少ないですが、チャネルの帯域幅は
正しく表示できています。PC用アプリの補助として使うのが良いかも知れません。

（WiFi チャンネルをグラフ化して表示）

（AP のリストと信号強度の時間的な変化を表示）

 

３．Speed Test WiFi Analyzer

Speed Test WiFi Analyzerは、Speed Test用のアプリですが、
WiFi 環境の調査にも利用できます。。
80MHzおよび160MHzのチャンネルを正しく表示できており、
Beacon IEs の情報もデコードでして表示できます。
但し、信号強度の変化のグラフを表示する機能はありません。

（WiFi チャンネルをグラフ化して表示）

（AP のリストと AP の詳細情報の表示）

まとめ

スマホのアプリを用いれば、AP毎の電波強度、チャンネルの
使用状況、電波の安定性等を簡単に把握できます。
Wireless IP PhoneやJabber for iPhone/Androidで音声品質の
問題が発生した場合、初期調査に利用できます。

備考：本ドキュメントで紹介したのはアプリの例であり、
　　　他にも有用なアプリがあるかもしれません。
　　　ハードウェアとの相性もあるので、色々なアプリを
　　　試してみてください。

参考ドキュメント

PC（Mac）を用いた WLAN 環境の調査

CP-8821 を用いた WLAN診断 (Site Survey) について

CP-8821 への SSH アクセスについて (WLAN情報の取得)

CP-8821 Wireless LAN Deployment Guide（設計ガイド）